奥野瑛太「理想像や夢を描かなくなった」 唐田えりかと語る、“好き”を続けていくこと

理想像や夢を描かなくなった

ーー広志が自分の演技に納得できなくて、もう1回お願いするシーンがありましたが、現場でもう1回お願いしたり、自分の意見を言うときは、普段どうされていますか?

奥野:基本的に納得できないなと思うのは自分の中だけにしています。俳優と現場と作品の正義も違うと思うので、もう1回はやらないですね。

唐田:私も基本的には監督の判断に任せています。OKを出してもらったら監督がOKなんだという感覚でやっています。

奥野:だた今回、台本を読んでいて、草苅監督のパーソナルな部分が散りばめられた作品だと思ったので、最もそれがあるんじゃないかなって僕自身が思い込んでいたシーンについては、「もう1回やらせてください」とお願いしたシーンがありました。最初にやったときに監督はOKしそうになったんですけど、現場の作品作りのそれまでの流れを考えて、「それで本当にいいの?」って思えるような状態だったと僕は感じちゃって。「そんなぬるくやらないで、もうちょっとやりましょうよ〜」ってことでやらせてもらいました。だからそこだけは完全に迷惑かけています。ただ、僕の正義とかっていうより、どっちかというと「大切でしょ?」っていう。「このシーンは監督にとっても大切だよね」と僕が勝手に思ったということなんですけどね。

(左から)奥野瑛太、唐田えりか

ーー応援してくれているお母さんと広志の関係性が素敵でしたが、奥野さんと唐田さんの身近な方々はどういう形で見守ってくれていると感じますか?

奥野:年もとってきましたからね。あんまり何も言われなくなってきましたけど、僕は映画関係の大学に行きたくて北海道から上京したんです。その前は大喧嘩をしました。北海道でこういう仕事に就くことは全然想像もできない。「それで食っていくには医者になることよりも難しいことだろ!」って親父にぶん殴られて。今の時代ダメかもわからないけど、窓ガラスを割ってメチャクチャに……(笑)。

唐田:結構すごい(笑)。

奥野:そうそう。それぐらいありましたね。反対ではないんですよ。ただ、「お前それぐらいの覚悟はあるのか?」ってことだと思うんです。そういうのは親ながらあるんじゃないですかね。今は温かく見守っていただいています。

奥野瑛太

ーー唐田さんはどうですか?

唐田:今は家族、友達、みんなが応援してくれているんですけど、私は牧場でアルバイトをしていたときにスカウトしていただいたので、結構な田舎の牧場というシチュエーションに対して「スカウトなんて詐欺じゃないか」と周りが信じてくれませんでした。連絡も取らないほうがいいみたいな感じでしたね。

奥野:怪しいもんね。いきなりね。

唐田:今は応援してくれています。

ーー本作では広志が理想と現実の折り合いをつけることの難しさに直面していきますが、もともと目指していたものと現状の自分を比べるといかがですか?

奥野:こんな大人になっているはずじゃなかったですね。もうちょっと大人だったはずだなと(笑)。でもあるときから、理想像や夢みたいなものは、確かに思い描いていないかもしれないなと思います。今は「こうなりたい」っていうのはないかな。

唐田:私もそうですね。このお仕事を選んだのは自分だし。この選択した仕事を、今は責任を持ってやりたいなっていう思いでやっています。

唐田えりか

ーー奥野さんはなぜ理想像や夢を描かなくなったんですか?

奥野:比べるものがないからだと思います。“こういう俳優さんになりたい”と思う人もいるかもしれないですけど、僕の場合は、その人と同じ作品に出ているわけじゃないし、同じ監督と巡り会えているわけでもないし、フィルモグラフィーもバイオリズムもみんな違いますから。そこに悔しいと思う感覚はなくなっちゃったんですよね。好きだからやっている、くらいかな。それが1番だと思うんですけど。

ーー好きなことを続けていく上で、今、励みになってることはありますか?

奥野:まだ僕よりも年上のおじちゃんたちがすげー楽しそうに頑張ってるんですよ。本当に親しい先輩の俳優さんたちとか、監督も含めて。そういう人たちがエネルギッシュに楽しんで現場にいる姿を見ているので、僕はそれに救われています。

唐田:お芝居をしているときは楽しいだけではないんですけど、こうやって映画が完成したときにやっぱり心から嬉しいなって思える自分がいます。だからそういう作品にこれからも出会えるように頑張っていきたいです。

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<リアルサウンド映画部 公式Twitter>
https://twitter.com/realsound_m

<応募締切>
4月16日(日)

■公開情報
『死体の人』
渋谷シネクイントほかにて公開中
出演:奥野瑛太、唐田えりか、楽駆、田村健太郎、岩瀬亮、烏丸せつこ、きたろう
監督:草苅勲
脚本:草苅勲、渋谷悠
主題歌:「僕らはきっとそれだけでいい」THEイナズマ戦隊(日本クラウン株式会社)
制作プロダクション:オフィスクレッシェンド
配給:ラビットハウス
2022/日本/カラー/シネマスコープ/5.1ch/94分/PG12
©︎2022オフィスクレッシェンド
公式サイト:shitainohito.com

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