『忍者に結婚は難しい』菜々緒と鈴木伸之が体現した“夫婦の愛” 奈緒ら3人の“山田”も話題に

 3人の“山田”が登場し話題を集めた『忍者に結婚は難しい』(フジテレビ系)の最終話。蛍(菜々緒)と悟郎(鈴木伸之)が蔓延る問題を明らかにしたことで、伊賀の組織は大きな変革期を迎える。時の流れとともにそれぞれのキャラクターが成長し、家庭や立場にも変化が見えた。

 小夜(吉谷彩子)の放った手裏剣は、悟郎の胸に突き刺さる。蛍は悟郎をつれて、楓(ともさかりえ)の用意した別荘に隠れることで難を逃れた。その後、東京に戻って再び赤巻殺人事件の真相を調べることで、事件の犯人が小夜であると知る。一方で、城水(市村正親)は蛍と悟郎を風富家の別荘に呼び寄せ、息子の城一郎(河野達郎)を総裁選まで生きさせるために「生延の術」で救ってほしいと蛍に頼むのだった。しかし蛍はその依頼を断る。実は、悟郎に刺さった手裏剣には毒が塗られており、それにいち早く気付いた蛍は悟郎に、生涯に一度しか使えない「生延の術」をかけていたのだ。ここで上忍の出である宇良(藤原大祐)が内偵班を連れて登場し、自体はさらに混乱を極める。蛍は「愛してる」と告げると、悟郎の前から姿を消すのだった……。

 『忍者に結婚は難しい』は蛍と悟郎の愛の物語を紡ぐと同時に、古い体質に苦悩した若い伊賀忍者が革命を求めて声を上げる物語でもあった。小夜がぶつかった壁や、悟郎が感じた悔しさ、時代に合わせた変化を求める宇良の姿からは、現代の若者が向き合う「生きづらさ」とも通ずるものを感じた。残念ながら小夜の総帥就任は叶わなかったが、最終話では宇良の母(シルビア・グラブ)が女性でありながら新総帥に就任。上、中、下に分ける階級制度も廃止し、大きな一歩をふみ出した。

 伊賀の変化と時を同じくして、2年間姿を消していた蛍は悟郎に会いに行く。愛おしそうな瞳で悟郎を見つめる蛍。2人は抱き合い、また幸せな未来を模索して歩み始めたようだ。全話を通して蛍を演じる菜々緒のしなやかな魅力が光った本作だが、最終話ではとりわけ強い輝きを放った。蛍は戦いに強いだけでなく、悟郎のことを想いながら2年間身を引く強さを持つ。人を信じ、愛しぬくことのできる女性であった。だが、悟郎と向き合う時がくれば、潔く再会する。自分の人生を豊かに歩むために、いつだって自分で決断し、前に進み、パートナーとの関係にも努力する姿を見せてきた。菜々緒はそんな蛍の芯の強さや懐の広い人間性を巧みに表現してくれた。大型犬のように愛らしい笑顔の悟郎の隣に菜々緒が表現する蛍が並んだことで夫婦の魅力は倍増しただろう。夫婦がバランスのもとに成り立っているという様子を見事に体現した存在だった。

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