『舞いあがれ!』浩太とはまるで別人 高橋克典が『罠の戦争』竜崎総理役で纏うオーラ

 朝ドラの“いいお父ちゃん”から一転、高橋克典が『罠の戦争』(カンテレ・フジテレビ系)でミステリアスな姿を見せている。

 『舞いあがれ!』(NHK総合)で高橋が演じた浩太は、ヒロイン・舞(福原遥)に寄り添う優しい父だった。家族や社員に心配をかけまいと、仕事の責任をすべてひとりで抱えてしまうような。決して、弱みを見せない父だった。

『舞いあがれ!』写真提供=NHK

 浩太が舞に「大丈夫や」と微笑みかけると、観ているこちらまで“大丈夫だ”と言われたような気がして、ホッとする。毎朝、浩太の笑顔に癒されていた人も多いのではないだろうか。だからこそ、心筋梗塞で突然死してしまった時には、私たち視聴者も大きな喪失感を抱えることになった。

 その衝撃の死から、ちょうど10日後にスタートした『罠の戦争』。高橋は、若くして内閣総理大臣の座にのぼりつめた竜崎を演じることに。最初はただ、「またお父ちゃんに会えた……!」と無邪気に喜んでいたが、あまりにまとっている空気がちがい、そのギャップに驚かされた。

 “笑顔”ひとつとっても、浩太と竜崎では全然ちがう。竜崎の場合は、笑顔を作っているというよりは、笑顔を作るのが癖になっているかのような不気味な笑い方。当たり前だけれど、町工場でネジを作っていた“お父ちゃん”はどこにもいない。歩いているだけで、人を恐縮させてしまうようなオーラを纏っているのだ。

『罠の戦争』©︎カンテレ

 しかし、総理大臣にもかかわらず、“ラスボス感”はないのが面白いところ。自分が総理の座につけたのは、民政党幹事長の鶴巻(岸部一徳)の力によるもの……と自覚しているがゆえの自信のなさが、ところどころに匂わされているのだ。

 そのため、これまではどちらかというと陰に隠れていた竜崎だが、鴨井(片平なぎさ)の裏切りにより、鶴巻の立場が危うくなりそうないま、“復讐”を試みる可能性も出てきた。権力を盾に、汚いことにも手を染めてきた鶴巻。鷲津(草彅剛)への対応を見る限り、竜崎も同じように脅されたり、罪をなすりつけられそうになった経験があるかもしれない。

関連記事