『舞いあがれ!』福原遥&山口紗弥加の名コンビ誕生 互いの長所を生かせるチームに
連続テレビ小説『舞いあがれ!』(NHK総合)の第23週では、舞(福原遥)が立ち上げた新会社「こんねくと」がいよいよスタートする。この会社は、東大阪の町工場の技術を生かした商品開発を行う。町工場の技術力の高さを理解し、それを利用したアイデアが次々に浮かんでくる舞の力を存分に生かせることだろう。
舞の背中を押し、会社の設立パートナーとなったのは意外にも、新聞記者だった御園(山口紗弥加)だ。大手新聞社の大阪支社に東京から転勤してきた御園は、「うめづ」で食事をしていた舞やめぐみ(永作博美)にいきなり声をかけ、その日のうちに「IWAKURA」へ取材に来た行動力のある人物。最低限の礼節はあるもののずんずん迫ってくる御園に、最初のうちは舞も多少面食らっているようなところがあったものの、次第に打ち解け、いつしか良き相談相手となっていた。めぐみのような、年上で立場も上の人には敬語、舞のような年下にはフランクに話しかけるという、一歩間違えば「人によって態度を変えている」と言われそうなコミュニケーション方法を取る御園と、誰にでも物腰柔らかに接する舞がここまで厚い信頼関係で結ばれるのはちょっと意外だった。
思えば舞はこれまで、パイロットになるために学び、訓練する“専門職”を目指す人々や、東大阪の町工場で日々、技術を磨く“職人”たちに囲まれてきた。つまり、舞の周りには一つのことに専心してきた人たちが多かったのだ。だが、それは同時に一つのことしか見えていないということを意味する。そんな中で、新聞社に勤め、幅広い分野の知識をもった御園のような“一般人”との出会いは貴重だったに違いない。自分にはない視点から物事を見てくれる御園の存在は、舞にとって新たな刺激となり、かけがえのないものになったのだろう。
一方の御園は、記者として舞とその周囲の人々を取材していくうちに、その輪の中に入りたくなったのではないだろうか。自分のためだけでなく、周りを巻き込んで状況を良くしようと動き続ける舞のパワーは、近くにいればいるほど強く感じられるものだ。御園は舞のような女性たちの功績を世に伝えていくことを、使命にしていたように感じていたのだが、悲しいことに部署異動を命じられてしまった。御園はこれをいいきっかけと捉えたのである。会社設立にあたり、御園は新聞社を退社した。そこにこれから舞のビジネスパートナーとして歩んでいくという強い決意が感じられる。知り合いも少ない東大阪の地で、こんな大きな決断をするにはとても勇気のいったことだろう。
今は希望に満ち溢れていて、何事にも「いいね!」と笑い合いながら進んでいくふたり。楽しそうではあるが、どこか浮き足立ってるようにもみえる。互いに経営は初心者だ。この先絶対に困難にぶつかるだろう。そんな時に真の人間性が表れてくるものだ。どうか大変な時も、舞は気丈に、御園は強かに切り抜けていっていってほしいと願っている。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』
2022年10月3日(月)から 2023年4月1日(土)まで
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月、目黒蓮、長濱ねる、高杉真宙、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、吉谷彩子、鈴木浩介、高畑淳子ほか
作:桑原亮子、嶋田うれ葉、佃良太
音楽:富貴晴美
主題歌:back number 「アイラブユー」
制作統括:熊野律時、管原浩
プロデューサー:上杉忠嗣
演出:田中正、野田雄介、小谷高義、松木健祐ほか
主なロケ予定地:東大阪市、長崎県五島市、新上五島町ほか
写真提供=NHK