『相棒』右京の変わった部分と変わらないもの 改めて感じた亀山との相性の良さ 

 ちょっと変わった刑事・杉下右京(水谷豊)とその相棒が数々の事件を解決していく様子を描く大人気シリーズ『相棒』(テレビ朝日系)。これまで約7年間“相棒”だった冠城亘(反町隆史)が前シーズンで卒業し、「次の相棒は誰なのか?」と放送前から話題を呼んでいた『相棒 season21』も、早いもので終盤に入った。

 注目されていた5代目となる“相棒”は、なんと初代“相棒”でもある亀山薫(寺脇康文)。異国の地・サルウィンから親善使節団の一員として帰国した亀山から「右京さん!」と声をかけられた右京は、少し驚いた様子で声のした方を探した。ドッキリがうまくいったことでご満悦な亀山が現れると、右京は大げさに再会を喜ぶこともなく、淡々と会話を交わした。14年振りの再会とは思えない淡白さに思わず拍子抜けしてしまったが、終始ニコニコしている亀山と真面目顔の右京の組み合わせは、昔とほとんど変わっておらず、初回から“相棒”としてぴったりハマっていた。

 捜査のやり方が独特な右京は、“相棒”が変わると初めの頃はなかなか息が合わず、苦労することが多かった。だが、1度組んだことのある亀山とのコンビにその心配は無用。次々と事件を解決していく。また、体力自慢だった亀山が犯人を追いかけるものの、取り逃してしまった時には「昔の君なら追いついたんじゃないですか?」とチクリと刺すことも。亀山と一緒だと昔を思い出すことも多いのか、こうしてちょっといじっておもしろがるところも増え、楽しそうにしている。

 右京は頭の回転が早く、どうしてそう考えたのかなど背景的な話を省いて、ピンポイントな質問や説明をしてしまうため、周りの理解が追いつかず、上手くコミュニケーションが取れないことがあった。かつてはそこを亀山がうまくフォローすることもあったが、近頃の右京はそこを克服し、人との交流を楽しむようになっている気がする。10億の財宝が隠されていると噂される山荘に興味を持った際には、そこで実施されている夫婦カウンセリングに、行きつけの家庭料理店「こてまり」の女将・茉梨(森口瑤子)を伴って現れた。事件の真相を確かめながらも茉梨との会話を楽しんでいる右京には、昔のような気難しい様子は感じられない。ストーリーの性質上、やりきれない結末も多い『相棒』だが、右京や周囲の人たちの醸し出すこの和やかさが、暗い気持ちを救ってくれているのではないだろうか。

関連記事