尾上松也、金髪のチンピラから後鳥羽上皇に心優しき刑事まで どんな役もこなす“藝”の力

 尾上が本業とする歌舞伎は、女方(女性の役)、立役(善人の男性役)、敵役(悪人の役)と年齢・職業・物語上の役割などによって役柄が分けられ、演技や衣裳・かつら・化粧などによって分かりやすく類型化されている。そのため、善人か悪役かが外見上明らかで、演技も映像作品よりも基本的にはオーバーアクションになる。こうした歌舞伎の過剰な表現は、漫画が原作の一癖も二癖もあるキャラクターを作り上げる上ではプラスに働くのだろう。

 しかしながら、作り上げたキャラクターを表現するには「藝」が不可欠だ。その点で尾上は5歳で初舞台を踏み、10代の頃は女方を中心に数多くの経験を積んできた。歌舞伎の世界では標準的なキャリアと言えるが、ドラマ・映画で活躍する同世代の俳優と比べれば圧倒的に場数が違う。後鳥羽上皇の雅で色気のある所作は女方の経験から醸し出されるものだし、『半沢直樹』(TBS系)以降すっかり歌舞伎俳優の専売特許となっている、表情筋を自在に操る“顔芸”も、歌舞伎の「見得」によって鍛えられたもので一朝一夕に真似できるものではない。

 歌舞伎で培った経験を土台に、コミカルからシリアスまでこなし、主演を担う実力を備えながら助演としても存在感を発揮する尾上。『女神の教室』の風見颯は久々に演じる“普通の役”だが、それだけでは終わらない予感もある。尾上がどんな新境地を見せてくれるのか。2023年も引き続き注目だ。

■放送情報
『女神の教室~リーガル青春白書~』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:北川景子、山田裕貴、南沙良、高橋文哉、前田旺志郎、前田拳太郎、河村花、佐藤仁美、宮野真守、小堺一機、尾上松也、及川光博
脚本:大北はるか、神田優
プロデュース:野田悠介
演出:澤田鎌作、谷村政樹
音楽:武部聡志
主題歌:Vaundy「まぶた」(SDR)
法律監修:水野智幸(法政大学大学院法務研究科)
制作・著作:フジテレビジョン
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