『舞いあがれ!』福原遥が挑戦する“お父ちゃんの夢” 仲間たちをを動かした熱意
『舞いあがれ!』(NHK総合)第79話では、舞(福原遥)が航空機部品の産業支援セミナーで出会った菱崎重工の荒金(鶴見辰吾)がIWAKURAの工場見学にやって来る。荒金は、航空機用のボルトを試作してみないかとめぐみ(永作博美)と舞に提案する。
これまでめぐみは、舞の提案を受け入れつつも、IWAKURAの航空機部品づくりに難色を示していた。第79話では、「ゆくゆくは、航空機部品への参入もお考えなのですか?」という荒金の問いかけに言葉を濁し、仕事の依頼も「航空機部品に関して経験がありません。新しい分野に参入する余裕は、とても……」と一度は断る。だが、浩太(高橋克典)の夢に挑みたい舞が荒金に図面を見せてほしいと話すと、荒金は部外秘の図面を快く見せてくれた。荒金は、新たな力を必要としている航空機産業において、中小企業がその力となりうるのか興味がある、と打ち明けた。舞の熱意と、IWAKURAが持つ優れた技術を証明してほしい、という荒金の言葉に、めぐみの心が動く。
舞は笠巻(古舘寛治)たちに試作品をつくることができないか相談する。技術の最高峰といわれる航空機部品づくりに、笠巻は「正直なとこ、難しいと思う」「雲をつかむような話や。難しすぎる」と答えた。しかし舞は諦めない。舞は「難しいからこそIWAKURAでやりたいんです」「IWAKURAがここまで生き延びてこれたんは、チャレンジすんのをやめへんかったからじゃないですか?」と訴える。笠巻に「私どうしてもこれやりたいんです」と熱心に頼みこむ舞の姿は、父・浩太にそっくりだ。なかなか引き下がらない舞を見て、笠巻たち、そしてめぐみは航空機部品製造への参入を決断した。
IWAKURAが初めて航空機部品に挑戦することになったその晩、めぐみは浩太の仏壇に話しかける。めぐみを演じている永作博美の表情が「IWAKURAの社長」から「めぐみ」に変わるのが印象的だった。IWAKURAの社長が板に付いてきたといえど、浩太の前ではふっと力が抜けるのだろう。めぐみは「舞がな、『お父ちゃんの夢、かなえるんや』て…」と微笑んだ。「見せたげたいなぁ……。IWAKURAのみんなが、浩太さんの夢かなえよって頑張ってるとこ」と呟く声は少し寂しげに響く。涙ぐみながらも明るく報告するめぐみの姿に、本当なら、この場に浩太がいてほしかったという叶うことのない願いを感じる。