『舞いあがれ!』舞や貴司らに訪れた明るい未来の兆し 草刈正雄もサプライズで舞いあがる
『舞いあがれ!』(NHK総合)が第76話にて、ここ数週間にわたって続いていたつらく、厳しい展開からようやく明るい未来へと向かっていく兆しが見え始めた。舞(福原遥)も、貴司(赤楚衛二)も、久留美(山下美月)も、そして草刈正雄(!)まで舞いあがる、久々に清々しい金曜の朝だ(エンドカードに、1月21日より放送のNHK土曜ドラマ『探偵ロマンス』に白井三郎として出演する草刈正雄がサプライズ登場した)。
リーマンショックの煽りを受けて倒産寸前だった株式会社IWAKURAは、再び山の頂上に一歩ずつ登っていく、まだまだ未来のある会社に復活した。それは先代の座を受け継いだ優しくも、根気強いめぐみ(永作博美)の社長として、経営者としての能力と、投資家としてカリスマ性のある悠人(横山裕)の不器用ながらIWAKURAを助けたいという思いもあるが、一番は今にも沈みそうな経営状態から新たな案件を初の営業にして獲得しチーム一丸となって試作合格、本発注にまで推しあげた舞の存在が大きい。
嫌味を言ってくる事務員の山田紗江(大浦千佳)をはじめ、IWAKURAの社員から「お嬢さん」と呼ばれていた舞はじきに旅立つ「お手伝いさん」でしかなかったが、チーム力を底上げしていく歯車のネジとしてガッチリ駆動していった。そこにあるのは亡き父・浩太(高橋克典)が遺していったIWAKURAへの思い、夢に向かって一歩ずつ歩んでいく熱き精神。それは当然めぐみにも継承されている。
舞とめぐみが浩太の遺影を前にして話しかける場面が印象的なのは、やっと2人に笑顔が戻ってきたからだ。漏れ出るようなめぐみの「会いたいなぁ」という変わらぬ愛ももちろんあるが、舞の「お父ちゃんに助けてもろた気ぃすんねん」、めぐみの「浩太さん、これからも見守っててな」というセリフには、今を受け止めて次に進んでいくという2人の確かな思いが詰まっているような気がした。