『罠の戦争』草彅剛が復讐に燃える議員秘書に かつてない熾烈な闘いが待ち受ける
復讐をテーマとする戦争シリーズだが、舞台や人物設定を異にしながら、そこには一貫した感情がある。草彅演じるそれぞれの主人公は胸の奥に消えない痛みや怒りを抱え、それを薪にして燃やすことで復讐のエネルギーに変えている。もちろん、その動機が一方的なものであれば共感を得ることはできない。誰もが納得できる理由が必要だが、これまでに草彅はドラマの導入部分で復讐に立ち上がるまでの心の動きを丹念に演じてきた。今作で息子に危害が及んだことと、その背後に犬飼がいることの関連性はやや短絡的に描かれているように見えなくもないが、大事な家族を奪われる理不尽さを考えれば理解できるし、そのことを説得的に感じさせる草彅と本田の熱演でもあった。
6年ぶりの復讐劇が幕を開けたわけだが、誰が、何の目的で泰生を狙ったかは現時点でさだかではない。第2話以降の展開を占う上で、「弱い奴には弱いなりの戦い方がある」という言葉が一つの方向性を示している。第1話で鷲津は犬飼を罠にかけたわけで、知略を駆使した攻防が見どころになりそうだ。おそらくそれは熾烈な闘いになるだろう。というのも『銭の戦争』で金そのものに善悪はなく、同作がマネーゲームの様相を呈したことや、詐欺的手段によって悪人を追い詰める様子が痛快ですらあった『嘘の戦争』に対して、政界を舞台に人間と社会の醜悪さをこれでもかと見せつける『罠の戦争』は、欲望や騙し合いも包含する総力戦として、戦争シリーズの集大成になると予想されるからだ。希望と絶望、全てをくぐり抜けた先で鷲津は何を見るのか。本作が描くこの世の真実を見届けたい。
■放送情報
『罠の戦争』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00〜放送
出演:草彅剛、井川遥、杉野遥亮、小野花梨、坂口涼太郎、白鳥晴都、小澤征悦、宮澤エマ、飯田基祐、本田博太郎、田口浩正、玉城裕規、高橋克典、片平なぎさ、岸部一徳ほか
脚本:後藤法子
演出:宝来忠昭
演出・プロデューサー:三宅喜重
プロデューサー:河西秀幸
音楽:菅野祐悟
主題歌:香取慎吾×SEVENTEEN「BETTING」(Warner Music Japan)
制作著作:カンテレ
©︎カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/wana/