冨永愛、『大奥』徳川吉宗は自分に似てる? 夢だった時代劇のオファーを受けて

大河の常連馬“バンカー君”との乗馬シーンに注目

――冨永さんが歴史を好きになったきっかけは?

冨永:10代の頃、家族と行った旅行で白虎隊の存在を知ったのがきっかけです。自分と同年代の子たちが辿った歴史を冊子か何かで知り、すごく衝撃を受けた思い出が根底にあります。でも、勉強の必要性を肌身に感じたのはモデルになって、海外に出た時ですね。というのも、海外の人って、若い子でも自国の歴史や政治についてよく知っていて、急に何も日本について知らない自分のことが恥ずかしくなったんです。そこから、歴史や伝統文化について学ぶようになりました。

――具体的にどのような書籍を読んで歴史を学ばれたのでしょうか。

冨永:最初に読んだのは、司馬遼太郎さんの『坂の上の雲』です。すごく面白くて、そこから歴史小説にはまりました。

――歴史を学ぶ楽しさはどこにあると思われますか?

冨永:歴史を学ぶことは、自分のアイデンティティを知ることにも繋がると思っています。なぜ、私たち日本人は礼儀正しいと言われるのか。他人に対して尊敬をもって相対することができるのか。歴史を紐解いていくと、そうした疑問の答えに辿り着くことがあります。ひいては、日本人であることの誇りを持つことにも繋がるんじゃないかと。

――これまで、もし時代劇に出演するとしたら、どのような役をやりたいと思っていましたか?

冨永:私が時代劇に出るなら、男役だなと思ってました。なぜなら、女性用の着物は丈が足りないと思ったから。背が高いので普段から着物を作るときは、男性用の反物で仕立てるんですよ。だから、沖田総司のように「実は女だったんじゃないか」説のある男役ならできるかなと思って、殺陣を習ってたんです。しかも、男の殺陣(笑)。でも、こうして女性の役をやらせていただいて、ありがたいことに衣装さんたちが私のために一から着物を作ってくれました。

――吉宗を演じて、心に残ったシーンや台詞を教えてください。

冨永:たくさんあるんですが、第1回で言えば、吉宗が御鈴廊下を歩いてくる場面です。水野と出会う重要な場面でもありますが、吉宗自身、綱吉時代から続く幕府の財政難をどうにかしなきゃいけないと思っているので、御鈴廊下を「大奥というものが果たして必要なのか」と色々考えながら歩いている。そんな吉宗の表情にもぜひ注目してほしいですね。あとは、原作にはない乗馬のシーンがあるんですが、個人的にとても楽しかったです。

――乗馬のシーンが作られたのはどういう経緯で?

冨永:私が以前、乗馬をやっている写真をインスタグラムに投稿したんですよね。それをたまたま見てくださった制作チームの方々が、乗馬のシーンを追加してくださったんです。私が乗ったのは“バンカー君”という名前の馬で、大河ドラマの常連。大河をよく観ていてる方なら顔を見たらすぐわかるかもというくらい有名な馬に乗らせていただき、初めてくらいのトップスピードで走りました!

――ご自身の出演シーンを初めてモニターで確認された時はいかがでしたか?

冨永:ドキドキでしたね。最初に限らず、いつも大丈夫かな~と不安な気持ちでモニターをチェックしています。出演作も少なく、俳優としてはまだまだヒヨッコ。時代劇も初めてなので、1月10日の初回放送は胃薬を常備して観ようと思います(笑)。ただ人って多面的な生き物で、吉宗も色んな要素を持ち合わせた人物だと思うので、「こんな吉宗もいたんだ」と新鮮な気持ちで観ていただけたら嬉しいです。

■放送情報
ドラマ10『大奥』
NHK総合にて、1月10日(火)スタート 毎週火曜 22:00~22:45放送
※初回は15分拡大
出演:福士蒼汰、堀田真由、斉藤由貴、仲里依紗、山本耕史、竜雷太、中島裕翔、冨永愛、風間俊介、貫地谷しほり、片岡愛之助ほか
原作:よしながふみ『大奥』
脚本:森下佳子
制作統括:藤並英樹
主題歌:幾田りら
音楽:KOHTA YAMAMOTO
プロデューサー:舩田遼介、松田恭典
演出:大原拓、田島彰洋、川野秀昭
写真提供=NHK
©よしながふみ/白泉社

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