ドラマ・映画・舞台で快進撃! 2022年の“岸井ゆきのイヤー”を振り返る

 先日最終回を迎えた『アトムの童』(TBS系)において、ヒロインとしての仕事をまっとうした岸井ゆきの。作品の軸を支えるポジションに彼女がいるのは、とても安心感があった。この2022年は“岸井ゆきのイヤー”だったといっても過言ではないだろう。今年の彼女の活躍ぶりを振り返りたい。

 岸井の2022年は、高橋一生とダブル主演を務めた『恋せぬふたり』(NHK総合)の放送と、それに続くかたちで封切りとなった映画『やがて海へと届く』で幕を開けた。いずれも彼女の主演作。これまでにもいくつもの作品の看板を背負ってきた岸井だが、今年はこのようなポジションを務め続けていたことを多くの方がご存知だろう。『パンドラの果実〜科学犯罪捜査ファイル〜』シリーズ(日本テレビ・Hulu)にてヒロインを務め、俳優・松尾諭のエッセイを原作とし、広く話題となった『拾われた男』(NHK BSプレミアム・ディズニープラス)にも登場。俳優という職業に使ってよいのか迷うところだが、それでも、「快進撃」と言わずにはいられない状況が今日まで続いているところだ。

『やがて海へと届く』©︎2022 映画「やがて海へと届く」製作委員会

 中井貴一、松山ケンイチ、北川景子、立川志の輔、橋爪功……といったエンターテインメント界の中心人物たちが集結した『大河への道』でもメインキャラクターの一人を務め、ムロツヨシ主演の『神は見返りを求める』と香取慎吾主演の『犬も食わねどチャーリーは笑う』でヒロインに扮した。“ヒロイン”とはいえ、いわゆる“キラキラ”した存在とは違う。前者では欲望が加速する現代の若者像を等身大で体現し、後者では世の女性たちの声を代弁するかのような人物を好演、いずれもいまのこの社会に深い爪痕を残すものだったと思う。どちらも男性主人公の視点から見れば畏怖すべき存在なのだが、そこには岸井本人の持つ独自の快活さがあった。それは、作品そのものがネガティブな方向へと着地するのを回避させ、どちらかといえば最後には前を向いて映画の幕を閉じられる、そんな重要な役割を岸井が担っていると感じたものだ。つまり、彼女だからこそ演じられるキャラクターたちだったと。

『犬も食わねどチャーリーは笑う』©︎2022“犬も食わねどチャーリーは笑う”FILM PARTNERS

 その一方で、彼女は舞台にも立っていた。2015年、2017年に続く“再々演”となった『気づかいルーシー』にて、3度目の座長を務めていたのだ。松尾スズキとノゾエ征爾という演劇シーンを牽引する二人のコラボ作。コロナ禍の影響により上演中止となってしまったところもあるのだが、それでも、タイトルロールであるルーシーを演じきってみせた。

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