『相棒』があぶり出した社会の多面性 現代人が噛み締めたい右京と亀山の言葉
白いコートを着て、深夜2時頃に現われる“丑三つのキョウコ”。彼女に出会ったら最後、心臓をえぐり取られて殺される……。12月14日放送の『相棒 season21』(テレビ朝日系)第9話では、特命係の右京(水谷豊)と亀山(寺脇康文)がそんな都市伝説の謎に迫っていく。
“丑三つのキョウコ”の噂はSNSで拡散。心臓を求める女にハートのものを投げれば襲われることはないという話から、ハートのキーホルダーが大流行していた。そんな中、フリースクールの入口で、同校の代表を務める河上(栗原功平)が遺体で発見される。死亡推定時刻に、現場の近くを白い服の女が徘徊する姿が撮影されており、「現実にキョウコが出現!」とネット上は大騒ぎに。
河上の経営するフリースクールは、問題を抱える子を強引に自宅から連れ出し、親から金を取ったら放り出すという、“悪徳スクール”だった。右京はそのスクールに、“キョウコ”を思わせる黒髪の女性がいることに気づく。青山加奈(江田友莉亜)というその女性は、両親を亡くした今も家から出ないままで、生活の世話は足立(廣川三憲)という高校時代の担任がしていると分かる。右京と亀山は、話を聞こうと呼び掛けるが、加奈は姿さえ見せようとしなかった。
逆に撮影された“キョウコ”は偽物だという人物も。右京はそう主張する松田(寺山武志)に興味を持ち、同じく興味があるという社会心理学者の大村(佐藤銀平)とともに話を聞くことに。
今回の事件では、いつもとは違う右京のちょっとかわいい一面が垣間見えた。SNSには疎いであろう右京は、松田に話を聞くために自ら彼にダイレクトメッセージを送っている。実は右京は、心霊現象やその手の話が好きなのだ。どうやらこの事件に関しては、真実を追い求めるだけではなく、絡んできた都市伝説の謎も楽しみながら捜査しているようだ。
また、都市伝説を研究しているという大村とは話が盛り上がっていた。大村が海外での都市伝説の始まりについて話し始めると、すぐに得意げな顔に変わり、相手を静止するように手をあげて「存じあげています」と微笑むと、自分は日本での都市伝説の始まりを語り始めた。幅広い知識がある右京だが、ちょっと負けず嫌いで、知っている分野に関しては自分も語りたいという思いがあるようだ。
だが後日、この大村が遺体で発見される。ネットには、“キョウコ”が犯行に及んでいると思われる動画もアップされていた。右京と亀山は、大村が殺害されたのと同時刻、河上の事件で怪しいと思われていた加奈を尾行していたのだが、加奈は白いコートを着て、ふらふらと歩き、出くわした通行人にハートのものを投げられると、すぐに引き返して自宅へと戻っていくだけだった。