『舞いあがれ!』目黒蓮と吉川晃司は似た者同士? 舞を支える不器用な優しさ

 あれ、柏木学生(目黒蓮)と大河内教官(吉川晃司)って似てるのか?

 そう思い始めたのは、『舞いあがれ!』(NHK総合)第50話で、厳しい着陸の特訓を受け熱を出して寝込んでしまった舞(福原遥)に、2人がお見舞いにアイスを届けるシーンを観てからだ。

 風邪にはアイスという感性だけでなく、第一印象との大きなギャップもまた2人の共通点である。航空学校の最終面接で舞と一緒になった柏木。考え方や価値観が別だと決めつけた彼は舞に「もう君と会うことはないだろう」と高慢な態度で言い放つ。舞はそんな柏木の印象を「背は高かったけど、何か感じ悪かった」と久留美(山下美月)らに話している。

 成績は良くても、第一印象は最悪というところからスタートした柏木だったが、舞たちとの学生生活を通じて意外な横顔も徐々に垣間見えてくる。その印象的な場面が、舞の焼く初めてのお好み焼きに恍惚とした表情を見せるシーンだ。父親がパイロット、母親は元CAのエリートとして育った柏木はこれまで下町の食べ物であるお好み焼きを口にしたことがなかったのだろう。そんなふうにして、柏木は仲間たちに感化されながら、段々と棘も丸まっていき、表情も柔らかくなっていく。

 特筆すべきは舞への恋心。今は彼女のいない、もしかしたらこれが初恋かもしれない柏木の恋愛は、小学生のようにとにかくうぶだ。常に上から目線だったかつての態度は今も名残を見せてツンデレへと変化している。

 一方、「鬼教官・サンダー大河内」の異名で会う前から舞たちを恐怖に陥れていた大河内。その威圧感は舞と同期の水島(佐野弘樹)がフェイルされたことで現実味を帯び、さらに増幅していく。いつしか舞と柏木の目的は大河内を見返すことに変わっていくが、大河内の方は一貫してその態度や姿勢は変わっていない。元自衛官のパイロットというキャリアもあり、丁寧な言葉遣い、柔らかな物腰、礼儀正しく、冷静沈着。厳しさの奥にあるのは、生徒への愛情だ。だからこそ、ちょっとした舞への優しさも意外なギャップに見えてくる。口数が少なくどこか不器用、だけど志が高いところは柏木と似ている部分と言えるだろう。

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