『城塚翡翠』清原果耶のスタイリングの美しさ シリーズの世界観を彩る美術にも必見

 連続ドラマ中盤の次回予告で突然、「前代未聞の最終話」を発表した『霊媒探偵・城塚翡翠』(日本テレビ系)は、視聴者の驚き冷めやらぬ中、第5話にて終了。翌週からは同一主人公による新シリーズ『invert 城塚翡翠 倒叙集』(日本テレビ系)がスタートした。

 前者は犯人の謎解きを楽しむ作品であることに対し、後者が犯人を明示した中で事件解決の道のりをたどる作品であるというのは非常に興味深い。また視聴者を裏切り続けた見事な企画力の結果として、まったく異なる城塚翡翠(清原果耶)が見られるのも何か得をしたような気分である。だが、本シリーズの見どころはそれだけではない。主人公・城塚翡翠が暮らす部屋や、翡翠の美しい“翠色”の瞳、そしてファッションショーのように頻繁に変わる衣装にも、是非とも注目していただきたい。

 『invert 城塚翡翠 倒叙集』での核となる鮮やかな謎解き、倒叙ミステリーという形式を彩る美術と衣装は、城塚翡翠という個性的なヒロインの特徴を余すことなく表現する。特に翡翠はファッションにこだわりがあることが端々からうかがえ、『invert 城塚翡翠 倒叙集』第2話ではスクールカウンセラーとして学校に潜り込む中、毎日違う服装で出勤する様子が描かれる。小学校という誰もが親しみを持って接する場所で行われる殺人事件、そして翡翠の華美な衣装は、異質なものが混じり合うようでミステリーらしいスリルを助長した。

 加えて、その衣装のスタイリングもまた美しい。柄アイテムや派手な色を大胆に使いながらも清原果耶は服の存在感に負けるどころか完全に自分の一部として着こなしている。また、リボン、パフスリーブ、フリル、大きな襟などで取り入れられたガーリー要素も彼女に非常に良くマッチしているのだ。こうしたファッションは浮世離れした翡翠らしさを演出しながらも、翡翠が何にこだわっているのか、どんなものに惹かれているのかというパーソナルな情報を視聴者に与える役割を担っている。メイクにもベーシックなブラウン以外の明るいカラーが使われており、メガネやアクセサリーなどの装飾までもが頻繁に変えられるというこだわりぶりだ。映像を撮影する中で、これだけの体数分の衣装を用意し、アクセサリー込みでスタイリングするとなると「つながり」を意識するのが非常に大変になるにもかかわらず、『invert 城塚翡翠 倒叙集』ではあえて挑戦。これにより視聴者は、翡翠のデイリールックを贅沢に堪能することができるのだ。

関連記事