『invert 城塚翡翠 倒叙集』特別編で翡翠の恐ろしさを再確認 散りばめられていた数々の伏線
「私が、本物の霊媒だって信じてらっしゃったんですか?」
翡翠(清原果耶)の衝撃の“タネ明かし”から2週間。『invert 城塚翡翠 倒叙集』(日本テレビ系)が始まったこのタイミングで、『霊媒探偵・城塚翡翠』(日本テレビ系)の“伏線”を振り返る特別編が放送された。原作を読んでからドラマに挑んだ筆者も、こんなに伏線が散りばめられていたのか……と『城塚翡翠』シリーズの凄みを再確認することに。“ひすまこ”こと翡翠&真琴(小芝風花)コンビの愛らしい絡みもあり、充実の1時間だった。
特別編で改めて感じたのは、やはり翡翠の恐ろしさだ。人並み外れたお嬢様であるがゆえに、世間とちょっぴりズレており、他者とうまくコミュニケーションを図ることができない。そんなふうに見せていたのも、実は演技。「私みたいにかわいくて綺麗な子が、ぼっちなはずがないでしょ?」と言ってしまうのだから、恐ろしい(実際は、孤独を感じている部分もありそうだが……)。第2話で、本を読んでいる香月(瀬戸康史)にそっと寄り添ったのも、頭を預けて寝落ちした(フリをした)のも、すべて“計算”というわけだ。
なかでも、“降霊”が芝居だったと考えると凄すぎる。翡翠の正体を知っていても、「本当に“降霊”しているのでは?」と錯覚してしまうほどの豹変っぷり。これは、香月が騙されてしまうのも、無理はない。「これで、インチキだって納得してくれましたか?」と聞かれても、すぐには消化できないほどの名演技だ。鐘場警部(及川光博)が、「人間は、信じたいものを信じちまう生き物だ」と言っていたが、本当にその通りで。話が進むにつれて、心のどこかで翡翠を、そして香月を信じたくなっている自分がいた。翡翠が、香月に向ける優しい視線は、本物なのではないか。香月は、実は殺人鬼ではないのではないだろうか……と。
だが、残念なことに、こうして振り返ってみると、数々の伏線が散りばめられていた。
香月が殺害するターゲットを選別するために使用した化粧品関連のコミュニティサイト「メイクルージュ」。つまり、そのサイトを運営する由紀乃(筧美和子)が、「最近、個人情報の流出でお騒がせしてしまいましたけど……」と言ったのも、翡翠が被害者の家で「このアイシャドウやファンデーション、先ほどの家でも見た気がしたんです」とカマをかけた(?)のも、すべてが伏線だったということになる。
また、気になっていた翡翠と鐘場警部(及川光博)の関係性も、ちょっぴり明かされた。第1話で、2人が意味あり気なアイコンタクトを取っていたのは、「余計なことを言うんじゃねーよ」と翡翠がガンを飛ばしていたから。第3話で鐘場が翡翠を尾行していたのも、翡翠を心配する気持ちからくるもの。
ちなみに筆者は、鐘場は翡翠の叔父なのでは……?と読んでいるが、どうだろうか。ただ、鐘場が翡翠に言った「何年、お前に振り回されていると思ってるんだよ!」という発言だけを取ると辻褄が合うが、プライベート翡翠が“鐘場警部”と呼んでいるところに謎が残る。しかし、翡翠が自らの危険を冒してでも“社会の敵”を排除しようとしているのには、やはり深いワケがあるのだろう。まだまだ多くの謎を秘めている翡翠。次週放送の『invert 城塚翡翠 倒叙集』第2話でも、また“騙されたー!”と叫ぶことになるのだろうか。
■放送情報
『invert 城塚翡翠 倒叙集』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30~放送
出演:清原果耶、小芝風花、田中道子、須賀健太、及川光博
原作:相沢沙呼『invert 城塚翡翠倒叙集』『invert II 覗き窓の死角』(講談社)
脚本:佐藤友治
脚本協力:相沢沙呼
演出:南雲聖一、菅原伸太郎、伊藤彰記
チーフプロデューサー:田中宏史、石尾純
統轄プロデューサー:荻野哲弘
プロデューサー:古林茉莉、柳内久仁子(AX-ON)
協力プロデューサー:藤村直人
音楽:Justin Frieden
主題歌:「妖」福山雅治(アミューズ/ユニバーサルJ)
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
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