『ザ・トラベルナース』中井貴一だから生み出せる静の懐の深さ 物語はいよいよ最終章へ

 第3話は向坂(恒松祐里)、第4話は郡司(菜々緒)、第5話は金谷(安達祐実)と女性ナースに順繰りとスポットが当たってきた『ザ・トラベルナース』(テレビ朝日系)。(どうやら)そのラストを飾るのは、看護部長の愛川(寺島しのぶ)。ただでさえ少ない夜勤の看護師数をさらに減らすと告げられ、愛川は院長・天乃(松平健)と事務長・千晶(浅田美代子)に異論を唱えたことをきっかけにその職を自ら辞することとなってしまう。

 「もっとご自分に自信を持って。あなたはそれに値する女性なのですから」「上にはっきりと意見を言う事も大切」という静(中井貴一)の言葉に背中を押され、愛川は「改善すべきは病院側にある」と提言する。しかし、矛先は天乃と千晶の愛人関係へとスキャンダルな方向に向かっていく。

 暴言を吐き院長を怒らせた責任から愛川は退職届を提出。金谷を部長代理としてメディカルセンターは回っていくこととなるが、半日で金谷が根を上げキレてしまったりとナースたちは改めて愛川の存在の大きさを実感していく。このままでは自分たちの待遇はさらに悪化していくばかりーーそう考えたナースたちは、金谷を先頭にして院長にストライキを起こす。そこに介入してきたのが歩(岡田将生)だ。25年間の勤続の中で四六時中患者と向き合い続けてきた、まさにフローレンス・ナイチンゲールのようなナースである部長がこんなことを望むわけがないと(患者のことを優先するのはもちろんだが、結局ナースの勤務体制が改善されたのかについてはボヤけている)。

 再び愛川が病院に復帰できたのは静のおかげだった。前回、フローレンス財団の理事長であることが明らかになった静。フローレンス財団は、医療従事者を目指す貧しい人たちを支援する財団で、「多くは語れませんが、ちょっとやりたいことがありましてね」と愛川に明かしている。天乃の「過去の過ち」を握っている静は、忠告だとして「相川部長の代わりはいません。あのナースたちの代わりもね。院長の代わりはいくらでもいるかもしれませんが」と揺さぶりをかけていく。

 『ザ・トラベルナース』は第7話より最終章に突入。第3話より出演していた大学生・三上礼(荒木飛羽)がフィーチャーされる一方で、第6話のラストで明らかになったのが静の病だ。荒い息遣いとともに胸元を押さえて苦しみだした静の病気がラストスパートに向けてのポイントになるだろう。そこでキーパーソンになりそうなのが、やはり歩だ。今回の愛川、そして静との関わりの中で、徐々に「人を見るのがナース」という意味を分かり始めてきた歩。静の言っていた「やりたいこと」と合わせて、最終章ではそのベールが明らかになっていくことだろう。

■放送情報
『ザ・トラベルナース』
テレビ朝日系にて、毎週木曜21:00~21:54放送
出演:岡田将生、中井貴一、菜々緒、安達祐実、恒松祐里、泉澤祐希、宮本茉由、野呂佳代、池谷のぶえ、吉田ウーロン太、前原瑞樹、柳葉敏郎、浅田美代子、寺島しのぶ、松平健ほか
ナレーション:遠藤憲一
脚本:中園ミホ
音楽:沢田完
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子
プロデューサー:峰島あゆみ、大垣一穂、山田勇人、多湖亮太
演出:金井紘、片山修、山田勇人
制作協力:ザ・ワークス
制作著作:テレビ朝日
©テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/the_travelnurse/

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