『鎌倉殿の13人』源仲章とは何者なのか? 史実を超えた生田斗真の“怪演”と三谷幸喜脚本
歴代の大河ドラマと比べても、善児(梶原善)やトウ(山本千尋)といった「影の仕事を行う歴史には記されない者たち」を除けば、実は驚くほど「オリジナルキャラクター」が少ない『鎌倉殿の13人』。基本的に実在の人物を登場させつつ、歴史の「点」と「点」を結ぶ「線」の部分を、大胆な解釈とアイデアのもと、活き活きと人間味豊かに描くことが、このドラマの醍醐味なのだ。
しかし、数多い登場人物たちのなかでも、この「源仲章」は、かなり「自由度」の高い部類の人物になるだろう。ここで仲章が、義時をあからさまに挑発するどころか、史実においては「伊賀の方」として知られる義時の継室「のえ(菊地凛子)」に近づいていったということは、後々の展開に向けた何かの伏線なのではないだろうか……などなど、歴史ファンもビックリの「自由度」の高い活躍っぷりなのである。
その「自由度の高さ」は、演じる生田斗真にとっても同じようだ。善良な好人物を演じることが多い印象のある彼にしては珍しい「悪役」――というか「憎まれ役」を、嬉々として演じているようにも思える生田斗真。実際、『NHK大河ドラマ・ガイド『鎌倉殿の13人』完結編』(NHK出版)掲載のインタビューで彼は、「いなくなって清々した、と視聴者の方にも思ってもらえるように役を積み上げていきたいです」と、律儀にその思いを語っている。さらに加えて、義時を演じる小栗旬とは、『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~』(2007年/フジテレビ系)をはじめ共演経験も数多く、後鳥羽上皇を演じる尾上松也に至っては、堀越の同級生として高校時代からの友人であり――「昔からよく知る2人の間を暗躍する役を演じられて、感慨深かったです」とのことなのだ。
さらに、実は今回が初参加となった三谷幸喜作品のセリフの面白さに「素直に驚いた」と語る彼は、そのインタビューの最後を、こんなふうに締めているのだった。「特に仲章のいまわのセリフは、『なぜだ』とか『貴様!』となりそうなところを、あの言葉とは。心からおもしろいと思いました。それは何か、楽しみにしていてください」。そのセリフは、彼のどのような演技と共に発せられるのか。それも含めて「今が絶頂!」であるようにも見受けられる「憎まれ役」――だけれども、そのチャーミングさは、どうにも隠せない気がする生田斗真の今後の「怪演」に期待したい。
■放送情報
『鎌倉殿の13人』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:小栗旬
脚本:三谷幸喜
制作統括:清水拓哉、尾崎裕和
演出:吉田照幸、末永創、保坂慶太、安藤大佑
プロデューサー:長谷知記、大越大士、吉岡和彦、川口俊介
写真提供=NHK