『あなたの番です 劇場版』は最後まで気が抜けない 田中圭&原田知世が歩む“もしも”の世界
11月18日の日本テレビ系『金曜ロードショー』で、『あなたの番です 劇場版』が放送される。2019年に考察ブームを巻き起こした秋元康企画・原案のドラマ『あなたの番です』(日本テレビ系)のキャストが再び集結したアナザーストーリーとなる今作。ドラマは観たが劇場版はまだ観たことがないという人もいると思われるので、“ネタバレなし”で放送前に劇場版の見どころを紹介する。
ドラマ『あなたの番です』は、主人公の年の差新婚夫婦である手塚菜奈(原田知世)と翔太(田中圭)が引っ越した都内のマンション「キウンクエ蔵前」が舞台。菜奈が出席した住民会で、殺したい人の名前をそれぞれ紙に書いたものをランダムに引き、書かれた名前の人物を引いた人が殺す「交換殺人ゲーム」が行われたことから事件が始まる。第1章と第2章「反撃編」の2部構成で放送され、第1章では毎週誰かが殺され、第2章は主人公の1人である菜奈の死から始まる衝撃展開も話題となった。
そして劇場版では、「もし住民会に菜奈ではなく翔太が出席し、交換殺人が始まらなかったら?」という“もしも”の世界線の物語が描かれる。
引っ越してから2年後に菜奈と翔太の結婚が決まり、住人たちを船上結婚パーティーに招待すると、その船上で次々と殺人事件が起こる。別ルートの世界線とはいえドラマと同じ人物たちなので、性格や人間関係、過去の出来事の恨みなど抱えているものは一緒なのがこの映画の面白いところ。そのため、ドラマで描かれた登場人物たちの背景を知っているとより深い考察を楽しむことができ、知っているからこそドラマとは違う展開に衝撃を受ける。正直ドラマを観ていないと面白さ半減だろう。
可憐で清楚な姿の裏に狂気を隠していた黒島沙和(西野七瀬)がドラマでは最重要人物だったが、映画で注目すべき点は、ドラマ後半の反撃編から登場した謎の大学生・二階堂忍(横浜流星)、事故物件に住んでみた芸人の南雅和(田中哲司)、ブルの内山(大内田悠平)が最初から登場。ドラマを知っていれば彼らがここにいる理由や関係性は見当がつくだろう。
しかし、映画の二階堂は最初から黒島の謎の彼氏として登場し、住民たちとの交流はない。南は黒島の過去に因縁があり、復讐を狙って追跡していたのがドラマでの真相だが、映画の世界線ではまだマンションが事故物件ではないので引っ越しておらず、船上作業員として登場。ブルの内山は映画でも相変わらず黒島のために暗躍する。だが、マンションに防犯カメラを付けまくった田宮淳一郎(生瀬勝久)が、映画では最初から防犯カメラに映っていた危険人物として存在に気づく。
さらに、劇場版では門脇麦が新キャストとして登場する。当然視聴者は背景を知らないので、物語を面白くする鍵なのは間違いない。