高橋文哉、“もっと知りたい”を引き出す存在感　『君の花になる』でどんな花を咲かせる？

　『うきわ ―友達以上、不倫未満―』（テレビ東京系）では主人公が働くクリーニング屋のアルバイト役を演じたが、多くを語らずともその視線やふとこぼす一言が妙に核心を突き、時に迷う主人公の心を決めるきっかけをもたらす影のキーパーソン役とも言える役どころを務めた。高橋はどうしたって目で追いかけたくなる“もっと知りたくなる”ような取っ掛かりを役柄に込めるのが上手い。

　『最愛』（TBS系）でも記憶障害を持つキーパーソン役・朝宮優を好演しており、強いインパクトを残した。自分の記憶に自信が持てない揺らぎや足元のおぼつかない様子、過去の“幸せな記憶”やその温もりを何とか自身に手繰り寄せようとする切実さや儚さが伝わってきて、主人公同様に優のこれからに想いを寄せた視聴者も少なくなかっただろう。どことなく周囲とうまく馴染めていない様子を、言葉で語らずともすぐに立ち上らせるような佇まいに、彼が特殊な事情を抱えていることは明らかで、放って置けない存在感を存分に発揮していた。彼の真っ直ぐな目が、一連の事件のきっかけになった悲しき過去の出来事について、外野からの安易な断罪を寄せ付けず、その善悪を決めつけてしまうことを一蹴する役割を担っていたとさえ思える。

　『着飾る恋には理由があって』（TBS系）、『悪女（わる）〜働くのがカッコ悪いなんて誰が言った？〜』（日本テレビ系）では、いずれも先輩社員に恋心を寄せるフレッシュな新入社員役を務めたが、本作ではもう少し複雑なあす花への慕情がどんな展開を引き寄せるのか。自身を追い込んでばかりで実は自分に自信のない弾が8LOOMの皆とどんな花を咲き誇らせるのか、信じて待つのみだ。

■放送情報
火曜ドラマ『君の花になる』
TBS系にて、毎週火曜22:00～22:57放送
出演：本田翼、高橋文哉、宮世琉弥、綱啓永、八村倫太郎、森愁斗、NOA、山下幸輝、志田彩良、菊田竜大（ハナコ）、川津明日香、木南晴夏、宮野真守、内田有紀、竹中直人、夏木マリ
脚本：吉田恵里香
プロデューサー：黎景怡、宮﨑真佐子
演出：坪井敏雄、加藤尚樹、宮崎陽平
製作著作：TBS
©︎TBS
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