柴田恭兵×井浦新に漂う緊張感 『両刃の斧』などWOWOWのヒリつく捜査ドラマ4選

 WOWOWには緊張感の漂う捜査ドラマが多数存在するが、現在放送中の『連続ドラマW 両刃の斧』もその一つだ。

『連続ドラマW 両刃の斧』

 本作は、大門剛明の同名小説をドラマ化したもので、元刑事の柴崎佐千夫(柴田恭兵)と柴崎の後輩だった所轄の刑事・川澄成克(井浦新)、未解決事件をめぐり2人の男がぶつかり合う慟哭のサスペンスだ。15年前に長女を何者かに殺害された柴崎は、警察退職後も重い病を抱える妻・三輪子(風吹ジュン)を看病しながら迷宮入りした事件について調べていた。同じ頃、捜査一課にある未解決事件の再捜査を専門とする専従捜査班が、この事件を取り上げることとなり、川澄も捜査に関わることとなる。そして、事件を洗い直す中、事件の容疑者が再浮上する。

 ショッキングな場面が続く作品だが、映像は抑制されたストイックなものとなっており、いたずらに感情を煽らない。だからこそ、大切な人を失った悲しみと怒りが伝わってくる。

 殺人事件の謎を追っていくミステリーでありながら、物語の根底にあるのは大切な娘を失った父親の苦悩だ。柴崎と川澄には娘を持つ父親という共通点もあるのだが、二人の対比を通して本作が何を描こうとしているのか、今後の展開がとても気になる。

『連続ドラマW 雨に消えた向日葵』

 父の苦悩を描いた捜査ドラマというと、2022年の夏に放送された『連続ドラマW 雨に消えた向日葵』も忘れられない作品だった。

 吉川英梨の同名小説をドラマ化した本作は、刑事の奈良健市(ムロツヨシ)と、失踪した石岡葵(大島美優)の父親・石岡征則(佐藤隆太)の視点を通して、行方不明事件が描かれる。

 物語は重厚なヒューマンドラマとなっており、なかなか犯人の行方がつかめないまま時間だけが過ぎていく。犯人と被害者の娘の姿を追う中で奈良と石岡が遭遇するのは第三者の悪意。それは、娘を誘拐した犯人と同じくらい、おぞましいものとして描かれていた。

 様々な切り口で描かれるWOWOWの捜査ドラマだが、刑事たちをスーパーヒーローとして描いていないことが一つの特徴だろう。彼らは強い正義感を持っているが、あくまで警察の一員でしかないため、極端に逸脱した行動はとれない。同時に彼らは家族と暮らす生活者としての悩みも常に抱えている。

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