宮﨑あおいの出演作にみるチャレンジングな姿勢 『らんまん』“語り”は俯瞰的視点に期待?

 主演・神木隆之介、ヒロイン・浜辺美波で、2023年度前期に放送される連続テレビ小説『らんまん』(NHK総合)。その語りを宮﨑あおいが務めることが発表された。

 4年前に第一子を出産して以降は俳優業をセーブし、数年に1度のペースで映画やドラマに出演している宮﨑。最新作は新春ドラマ特別企画として2020年に放送された『あしたの家族』(TBS系)である。それでも世間に忘れ去られることはなく、常に最新作が待ち望まれる稀有な存在だ。今回もナレーションという形ではあるが、2年ぶりとなるテレビドラマへの参加に反響が集まっている。

 宮﨑は10月25日、都内で開催されている「第35回東京国際映画祭」のトークイベントに登壇。そこで、今年3月に亡くなった青山真治監督について「人生の中でもすごく大事な人」と語った。宮﨑にとって、青山監督は俳優人生を変えた一人。当時まだ無名だった宮﨑は青山監督作『EUREKA ユリイカ』(2001年)でバスジャック事件に巻き込まれ、心に深い傷を負った少女を演じ、注目を浴びる。翌年も映画『害虫』(2002年)で家庭にも学校にも居場所を持たず、自ら不幸な道に進んでいく思春期の女の子を演じるなど、10代の宮﨑は複雑な役を難なくこなしていった。

 子役時代はドラマにも多数出演しているが、10代後半から20代前半は圧倒的に映画の出演本数が多い。それは本人が若いだけでアイドル視されることを避け、出演する作品を厳選していたからだという。愛する人のために三億円強奪事件の実行犯となる女子高生(『初恋』)、遺伝性の病気を隠しながら恋に命を燃やす大学生(『ただ、君を愛してる』)など、選んだ役にも彼女の並々ならぬこだわりとチャレンジングな姿勢が伺える。

 どれも普通の人が経験しないような状況下に身を置く役柄であり、ともすれば共感できずに終わってしまう可能性もある。そこを宮﨑は深い洞察力による心理表現で、作品の本質的なテーマを観るものに伝えてきた。だからこそ、長い時間をかけて一人の人物をじっくりと描く朝ドラ『純情きらり』(NHK総合)や、大河ドラマ『篤姫』(NHK総合)の主演にも抜擢されてきたのだろう。『篤姫』では当時歴代最年少の主演でありながら、うつけ者扱いされていた夫・徳川家定(堺雅人)と心を通わせ、彼が亡き後は大奥を取りまとめた天璋院篤姫の波乱に満ちた生涯を渾身の演技で映し出した。

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