北野日奈子、初の連ドラヒロインの経験で得た変化 「新しい自分を知ることができた」

 『週刊ヤングジャンプ』で連載中の人気コミックを連続ドラマ化した『少年のアビス』(MBS)が10月20日に最終回を迎える。生まれ育った環境に縛られ、絶望の淵にいた高校生の主人公・黒瀬令児が、ある出会いをきっかけに、生きることに「希望」を追い求める姿を描いた本作。荒木飛羽演じる黒瀬令児の憧れのアイドルで、彼に“心中”という救いの手を差し伸べる青江ナギを演じているのが、今年4月に乃木坂46を卒業した北野日奈子だ。自身とも重なるアイドル役で、初の連続ドラマのヒロイン役を担った彼女に、舞台とドラマの芝居の違いや、撮影を終えての心境、乃木坂46時代からの変化について語ってもらった。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】

「1話の台本を読んだだけだと、抵抗の気持ちの方が強かった」

ーー数カ月前に舞台『蒲田行進曲完結編 銀ちゃんが逝く』に向けてお話を聞かせていただきましたが、全公演を終えてどうでしたか?

北野日奈子(以下、北野):すごく楽しかったです! 取材のときはものすごく不安だったんですけど、あの取材日の2日後くらいに初めて石田(明)さんにご飯に連れて行っていただいたんです。そこでグッと距離が縮まったので、本番がすごく楽しみになりました。

北野日奈子に聞く、乃木坂46に在籍した9年間とこれからのこと 「本当に世界が広がった」

4月30日に乃木坂46を卒業した北野日奈子が、卒業後初の女優業として舞台『蒲田行進曲完結編 銀ちゃんが逝く』にヒロインの小夏役で…

ーー僕も舞台を拝見しましたが、客席にも伝わってくるぐらい、みなさんの熱気がすごかったです。

北野:ですよね? 私もいつか誰かの血管が飛ぶだろうなと思いながら(笑)、毎日必死にステージに上がっていました。みなさんカッコよかったです。

ーー乃木坂46卒業後、初のお芝居のお仕事になりましたが、経験としても大きかったようですね。

北野:そうですね。やると決めてよかったなと本当に思いました。自分にとって絶対に必要な経験だったというか、やらせていただけたことで、自分の今後にも変化がありました。

ーー今回の『少年のアビス』への出演はいつ頃決まっていたんですか?

北野:舞台の稽古に入って2週間後ぐらいだったので、たぶん取材していただいた数日後とかだと思います。舞台のほうでいっぱいいっぱいだったので、最初は「何を言ってるんだ……」と思いました(笑)。

ーー(笑)。原作はご存知でしたか?

北野:今回のお話をいただいて知ったのですが、1話無料で読めるのを知って読んでみたら、「おぉ……」となりました(笑)。

ーーまぁ、そうなりますよね(笑)。

北野:なので最初は「大丈夫そうですかね? 私にできますかね?」という話をさせていただいたのですが、スタッフさんから「日奈子ちゃんに合うと思う」という助言もいただいて、やらせていただくことに決めました。舞台の本番が終わってから原作を読み進めていったんですけど、課金する手が止まらなくなるほど一気に読んでしまいました。

ーー内容的にはハードな描写もあったりしますが、演じる上でそこは気になりませんでした?

北野:第1話の台本を読んだだけだと、抵抗の気持ちの方が強かったです。やっぱり、乃木坂46を卒業したばっかりだし、こういうお芝居は今までやったことがなかったので。なので、正直に「不安です」「できそうにないです」ということもお話しさせていただいたら、具体的にどうやって撮るか、変えられるところはあるかなど、まだ決まっていない段階なのにスタッフさんたちが集まって細かく対応してくださっているのを見て、「これはやるしかないな」と。スタッフさんたちには本当に感謝しかないです。

ーー撮影を終えられていかがですか?

北野:一気にいろんなことを経験したなと思います。連続ドラマのレギュラー出演自体も初めてでしたし、学生じゃない役も、タバコを吸うことも、内容に対しての取り組み方も、全てが新鮮でした。

ーー舞台が終わってからすぐにドラマの撮影というのも大変ですよね。

北野:そうなんですよ! 舞台では、セリフでは伝わらないような感情を、表情や態度に出しながら演じていたので、撮影に入る前に本読みがあったときに、私一人だけバカみたいな声量でセリフを言ってしまって(笑)。監督に「はい、カット。ナギちゃん、もうちょっとトーンを落としていいかも」って言われてしまいました(笑)。

ーー(笑)。

北野:その本読みのときに「ボソッとしゃべる感じで」と教えていただいたので、それをナギちゃんを演じる上でのモットーとして現場に入ったんですけど、まだちょっとうるさかったようで、「もうちょっと感情がなくていいかも」とアドバイスをいただきました。

ーー舞台のお芝居とドラマのお芝居の違いに相当手こずったと。

北野:本当に大変でした。台本通りの順番通りには撮らないというドラマの基礎的なところもほぼ初めてだったので、ここではどれくらいのテンションなのか、令児くんとはどれくらいの距離感なのか、ということを考えながらパニックになりそうでした。舞台だったら、セリフの言い回しやテンションなど、日によって多少違っても大丈夫なので、いろいろ試しながらできたんですけど、ドラマはそういうわけにもいかず……。同じシーンをいろんな角度から撮ってもらうこともあるので、一度やったお芝居を変えないようにする必要があるんですよね。同じお芝居をするのってこんなに難しいんだと思いました。

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