『アトムの童』は日曜劇場版RPG? 山﨑賢人演じる那由他の瞳にともった光

 「ゲームのおもしろさはアイデア」という那由他のセリフがあったが、ゲームとドラマの違いは、後者が感動に力点を置くところにある。海がバグ発見のタスクを通じて開発者であるジョン・ドゥの正体を探り当てるプロセスはゲーム的なアイデアの発露だが、そこに至る感情の変遷は、ソフビフィギュアに魂を込める繁雄や、ほとんど敬虔なまでの態度でガチャガチャ(カプセルトイ)を回す那由他と失われた過去の回想シーンによって積み上げられ、愛憎入り混じった父娘の会話を経て次第に井戸の底に潜行し、ついに那由他の心の奥にある炎を呼び覚ました。

 かくして海の最初の仲間となった那由他であるが、この物語にプロローグがあることが明かされた。7年前にダウンウェルを開発した仲間、緒方公哉(栁俊太郎)ともう一人のジョン・ドゥ、菅生隼人(松下洸平)のうち、公哉は亡くなり、隼人は那由他と袂を分かっていた。そこには興津も絡んでおり、那由他の怒りがもっぱら興津へ向けられていたことと合わせて、公哉の死、隼人との決裂の裏にただならぬ事情が窺われる。第2話で那由他と隼人は再会するようだが、ドラマ序盤の出会いが次なる仲間探しに結びつくか、そこに込められたドラマとともに注視したい。

■放送情報
日曜劇場『アトムの童』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:山﨑賢人、松下洸平、岸井ゆきの、岡部大(ハナコ)、馬場徹、栁俊太郎、六角慎司、玄理、飯沼愛、戸田菜穂、皆川猿時、塚地武雅(ドランクドラゴン)、でんでん、風間杜夫、オダギリジョー
ナレーション:神田伯山
脚本:神森万里江
演出:岡本伸吾、山室大輔、大内舞子、多胡由章
プロデュース:中井芳彦、益田千愛
音楽:大間々昂
製作著作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/atomnoko_tbs/

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