オダギリジョーにとって新鮮な悪役 『アトムの童』山﨑賢人の前にどう立ちはだかる?

 TBS日曜劇場の最新作『アトムの童』が10月16日からスタートする。若き天才ゲームデザイナーが、廃業の危機を迎えた老舗玩具メーカーと手を組んで、巨大資本の企業を相手に覇権を争うという物語だ。

 匿名でインディーゲームを制作する主人公・安積那由他を演じるのが、日曜劇場初主演の山﨑賢人。那由他に影響を与える2人の人物が松下洸平と岸井ゆきの、那由他が世話になるネットゲームカフェの店長が岡部大(ハナコ)、老舗玩具会社の社長に風間杜夫、ナレーターを講談師の神田伯山が務める。骨組みは日曜劇場お得意のビジネスドラマだが、ゲーム業界が舞台ということもあってかフレッシュな顔ぶれが揃ったように感じる。

 注目を集めているのが、那由他の前に立ちはだかる大手IT企業社長・興津晃彦のキャスティングだ。当初は「ミスター日曜劇場」の異名を持つ香川照之が演じる予定だったが、性加害疑惑が報道されて降板。急遽、代役としてオダギリジョーが演じることになった。はたして、香川が演じるはずだった役柄をオダギリがどう色付けし、光らせていくのか。両者を比較した上で考えてみたい。

 香川照之とオダギリジョーは、映画『ゆれる』(2006年)で兄弟役を演じており、オダギリの「香川さんへの恩返しのつもりで、お引き受けします」というコメントも報道されている。とはいえ、香川とオダギリは俳優としてのイメージがかなり異なる。異なるどころか、正反対と言ってもいい。実際、『ゆれる』でも自由気ままな弟(オダギリジョー)と温和で誠実な兄(香川照之)という対象的な役が与えられていた。

 あえて単純化してしまうと、香川照之の役柄には「権威」というイメージがつきまとう。一方、オダギリジョーの役柄のイメージは「自由」だ。あるいは「反権威」。また、香川には「大人」のイメージ、オダギリには「若さ」(正確には「大人であることから逸脱する自由」)のイメージもある。これはあくまで役柄から受けるイメージだが、香川が伝統芸能である歌舞伎に参加していたこと、オダギリが自身で監督したり海外の映画に参加したりしていることもイメージに影響を与えているのかもしれない。

 香川は『半沢直樹』(2013年、2020年/TBS系)の大和田常務役が爆発的人気となり、“顔芸”とも称されるエキセントリックな演技が定番となった。一方、オダギリはマイペースな仕事ぶりを見せていたが、特に近年の『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』(2021年、2022年/NHK総合)での警察犬オリバー役と連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)でのヒロインの父・錠一郎役が鮮烈な印象を残している。常人ではありえないほどのテンションの高さで怒声を発する香川と、声を張らずにどこまでも飄々としているオダギリ――。やっぱり両者は正反対である。

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