幻の“8人目”ジョン・ウー監督が『七人樂隊』にメッセージ 「香港映画は良くなっていく」

 映画監督のジョン・ウーが現在公開中のオムニバス映画『七人樂隊』に寄せたコメント映像が公開された。

 『七人樂隊』は、ジョニー・トー監督のプロデュースで、現在香港で活躍する七人の監督が集まり、1950年代から未来まで、担当する年代を撮影したオムニバス映画。フィルム時代に敬意を表し、全編35mmフィルムで撮影されている。

 本作は当初、七人樂隊(septet/セプテット=七重奏)ではなく、フェデリコ・フェリーニの映画『8 1/2』へのオマージュという意味も含むオリジナルタイトル「八分半」として、香港の8人の監督による8話のオムニバス映画が製作される予定だった。今では幻となったもう一人の映画監督がジョン・ウーだ。1970年代後半から1980年代にかけて『男たちの挽歌』シリーズをはじめとする香港ノワール映画を世界に知らしめた立役者であるとともに、1990年代前半から2000年代にかけては『フェイス/オフ』や『ミッション:インポッシブル2 』などでハリウッドに進出し、アクション大作『レッドクリフ』などの大ヒット作を連発した。

 10年ごとに年代を分けて、くじ引きで当たった年代を7人の監督が担当した7本の短編で構成した本作。1950年代はサモ・ハン監督、60年代はアン・ホイ監督、80年代はパトリック・タム監督、90年代はユエン・ウーピン監督、2000年代はジョニー・トー監督、2010年代はリンゴ・ラム監督、未来はツイ・ハーク監督となっており、ジョン・ウー監督が担当する予定だった1970年代だけが抜けたまま製作された。2014年に撮影が開始された当時、ジョン・ウー監督は体調不良により本作に参加できなくなってしまったため、タイトルが7人の監督による七重奏として『七人樂隊』に改題された。本作の呼びかけ人でありプロデューサーのジョニー・トー監督は、「ジョン・ウーはこの企画を本当にやりたいと希望していた。撮影の時には体調の具合で参加できなかったが、本人がやりたいという気持ちが強かったから、もし今後ジョン・ウーの物語を撮るということになったら『七人樂隊』に8話目を加えればいい」と、本作の8人目の監督であり朋友への想いを語っている。

映画『七人樂隊』ジョン・ウー監督メッセージ

 最終的にジョン・ウー監督は作品には参加できなかったものの、志を共にする香港の仲間たちが監督した『七人樂隊』に寄せて、特別に応援メッセージ映像を寄せた。映像の中でジョン・ウー監督が語るのは、香港映画の精神について。「自由奔放に想像する力」「何でも受け入れて各時代の特徴を作品の中で表現すること」「チーム精神を発揮し、お互いを大切にする心情を持つこと」という、3つの精神が映像の中で語られる。

 なお、10月15日の12時5分から新宿武蔵野館で上映される回では、七人の監督のひとりであるツイ・ハーク監督が上映後にオンライン舞台挨拶を行うことも決定している。

■公開情報
『七人樂隊』
新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開中
監督:サモ・ハン、アン・ホイ、パトリック・タム、ユエン・ウーピン、ジョニー・トー、リンゴ・ラム、ツイ・ハーク
プロデューサー:ジョニー・トー、エレイン・チュー
出演:ティミー・ハン、フランシス・ン、ジェニファー・ユー、ユン・ワー、ン・ウィンシー、サイモン・ヤム、チョン・タッミン、ラム・シュ
配給:武蔵野エンタテインメント
2021年/香港/広東語/111分/ビスタ/5.1ch/原題:七人樂隊/英題:Septet: The Story of Hong Kong/日本語字幕:鈴木真理子/PG12
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公式サイト:septet-movie.musashino-k.jp
公式Twitter:@septet_movie

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