『七人の秘書』が広く愛される理由を解説 爽快なシスターフッドがSPドラマで再び
日本ドラマにおけるシスターフッド作品は身近な“生き辛さ”を扱うことが多いが、本作は巨悪を痛快に挫いて行く女性たちの活躍が主軸となっている。市井の人々が手を出し辛い領域へ自身の立場を生かして踏み込み、頭脳とアクションを交え活躍する様は観ていて実に爽快であり、ヒーロー作品のような高いエンタメ性も感じられる。現役の秘書である6人は大手銀行や警視庁、大学病院や都庁トップのもとで働いており、男社会を生き抜く力強さや知性を持ち合わせている。しかし秘書全員が完璧な人間であるわけではなく、得意不得意や抱えているものも違う。こうしたグラデーションは現実世界における多様な人々のあり方に即した描写であり、より登場人物たちに共感してもらうため視聴者を置き去りにしないという制作者の意図が感じられる。
女性がストーリーの主軸となり、作り込まれたキャラクター性を与えられることは近年“当たり前”として扱われ、こうした“当たり前”が現実世界を生きる女性たちにとってのエンパワーメントになっていく。恋愛ものやイケメンのみが女性にとって重宝されていると思われていた時代もあったが、現実の女性たちは多種多様であり典型などないのだ。スカッと爽快な海外のシスターフッド作品といえば映画『オーシャンズ8』(2018年)が記憶に新しいが、日本には『七人の秘書』があるぞと声高に主張したい。
■放送情報
『七人の秘書スペシャル』
テレビ朝日系にて、10月2日(日)21:00~22:55放送
出演:木村文乃、広瀬アリス、菜々緒、シム・ウンギョン、大島優子、室井滋、江口洋介
脚本:香坂隆史
演出:山田勇人
音楽:沢田完
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子
プロデューサー:大江達樹、浜田壮瑛、峰島あゆみ、遠藤光貴、大垣一穂、角田正子
制作協力:ザ・ワークス
制作著作:テレビ朝日
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