ウクライナ発のアニメーション映画が日本初上映へ 監督のコメント入り予告編も
ウクライナ発のアニメーション映画『THE STOLEN PRINCESS(英題)』が全国規模での公開を目指しクラウドファンディングを開始。あわせてオレ・マラムシュ監督からのコメント動画と予告編が公開された。
本作は、東欧のアニメーションスタジオ・Animagradによって制作され、売れない俳優ルスランと王女ミラの身分違いの恋と、2人が悪の魔法使いに立ち向かう姿を描いたファンタジー・ラブストーリー。ウクライナ制作のアニメーション映画として、日本初の上映作品となる。
売れない俳優ルスランと王女であるミラ。身分が違う2人はお互いの素性を知らぬまま出会い、やがて恋に落ちる。しかし、悪の魔法使いであるチェルノモールがルスランの目の前でミラを連れ去り、ミラの愛の力を自分の魔力に変えてしまう。ルスランは、愛するミラを助けるためにあらゆる障害を乗り越え、本当の愛は魔法よりも強いということを証明するべく旅へと出るが、そこには様々な困難が待ち受けていて……。
本作は、Elles Films代表取締役の粉川なつみが、ロシアによるウクライナ侵攻の惨状を日々目にする中、映画関係者として支援がしたいと考え、配給会社を設立。日本国内での配給が決定した。
また、粉川は日本初公開となるウクライナアニメ映画として、本作の全国規模の公開を目指しており、日本語吹替版の制作も決定。制作費用や宣伝費の支援を希望し、クラウドファンディングを開始した。リターンには、グッズや宣伝会議への参加、クラウドファンディング参加者限定の試写会の開催や日本語吹替体験などが実施される。
さらに、収益を本作の制作スタジオであるAnimagradへ分配するほか、ウクライナ政府とInternational Coalition for Filmmakers at Riskへ5パーセントずつ渡すことを発表している。
また、日本公開に向けたプロジェクトの始動に際して、本作を手がけたマラムシュ監督よりメッセージ動画が到着。マラムシュ監督は動画冒頭で「(本作の)日本公開が決定して本当に嬉しいです」と、喜びの気持ちをコメント。続いて、現在のウクライナの状況については「大変な局面を迎えている」と表現し、「(スタッフたちは)避難して世界各地で働いている」と明かした。
また、マラムシュ監督はかねてより日本のアニメのファンとのことで、「日本のアニメーションを愛し、15年間研究しています。本作でもその要素を取り入れています」と語っている。そして、より多くの日本の観客へ本作が届くようクラウドファンディングへの協力を呼びかけ、「ウクライナから愛を込めて」とメッセージを締め括った。
粉川なつみ(Elles Films 代表取締役)コメント
ロシアによるウクライナ侵攻を報道で目にするたび、もっと手を差し伸べられないか。私だからこそできる支援はないか――。日本で日々平和に暮らす自分へのもどかしさの中で、その思いはますます強くなっていきました。
そんな時に出会ったのが本作です。以前と比べ、戦況がニュースに取り上げられなくなってきた今日、日本人の記憶から風化していくのを止めるためにも絶対にこの映画を日本で配給しなければならないと思いました。なぜなら、少しでも多くの方に本作を観ていただくことが、映画業界で働いてきた私だからこそできる、ウクライナへの貢献になると考えていたからです。日本語吹替版を制作することで、この映画を通してウクライナ侵攻の現状を大人だけでなく子供たちにも知ってもらうきっかけに、また世界中で起こっている紛争問題にも目を向ける機会になってもらえたらと考えております。
日本で初めてとなるウクライナアニメーション映画の劇場公開に向けて、未知の領域への挑戦となりますが、ウクライナやウクライナの映画業界への貢献となるよう奮闘しますので、ぜひお力添えください。
■公開情報
『THE STOLEN PRINCESS(英題)』
公開日未定
監督:オレ・マラムシュ
制作スタジオ:Animagrad
2018年/ウクライナ/90分
©2018, SSVG EAST FUND INVESTMENT LIMITED ©2018, “ANIMAGRAD” LTD © 2018, Ukrainian State Film Agency