『サマータイムレンダ』いよいよ完結 圧巻の戦闘描写とストーリー構成がヒットの要因に

 序盤ではミステリアスで畏敬の対象とされていた影の存在が話数を重ねるにつれて、だんだんと明らかとなっていき、一緒にストーリーを追体験できるという点と、本格的なストーリーに引けを取らないド迫力の戦闘シーンが織り込まれている点が「SFサスペンス」として人気を集めた理由なのだろう。このように謎解きと戦闘シーンのバランスが絶妙な塩梅で織り込まれているのが本作の魅力だ。

 ちなみに本アニメは全13巻ある原作を25話で描ききるという難題に挑戦したわけだが、全体的にコンパクトにまとめられていた印象で、かつ大事な要点はしっかりと描かれていて、原作ファンのみならず、アニメから観た視聴者も楽しめるようになっていた。個人的には原作での細かな資料の描写や登場人物の何気ない会話など楽しみはあるものの、アニメ化としての完成度はかなり高い作品だったと言えるだろう。

 中でも2クール通して顕著だったのは安定した作画のクオリティの高さである。以前書いたコラムでも渡辺歩監督の言葉を引用しつつ作画へのこだわりにも触れたが、圧巻だったのはやはり影との戦闘シーンだ。中でもファンの間では神作画と言われている第15話では影との総力戦と言える内容で、学校の校舎に影をおびき寄せた慎平が、ハイネやシデらを相手に様々な作戦を用いて奮闘する姿が流麗な映像とともに描かれた。たとえ良い原作だったとしても、作画が崩壊してしまうというのは少なくないが、限られた話数の中でも戦闘シーンには強いこだわりをもっているのが伝わってきた。

 第24話ではラスボスのシデとの対決も終えたのはつかの間、潮の影との別れが訪れた。浜辺で潮が慎平に最後の別れを告げるシーンでは特殊EDの演出もあって、胸がゾワッとする高揚感があった。最後には第1話の冒頭へと繋がる演出で終わったが、最終回ではどのような結末が待っているのだろうか。これまで幾度となく過酷な結末を迎えてきただけに、最後にはハッピーエンドに期待したい。

■放送情報
『サマータイムレンダ』
TOKYO MX・BS11にて、毎週木曜24:00~放送
関西テレビにて、毎週木曜26:55~放送
アニマックスにて、毎週土曜20:00~放送
J:テレにて、毎週月曜25:00~放送
声の出演:花江夏樹、永瀬アンナ、白砂沙帆、日笠陽子、浦山迅、小野賢章、河瀬茉希、大塚明夫、玄田哲章、上田燿司、小西克幸
原作:田中靖規(集英社ジャンプコミックス刊)
監督:渡辺 歩
シリーズ構成:瀬古浩司
キャラクターデザイン:松元美季
アニメーション制作:オー・エル・エム
制作:小学館集英社プロダクション
©田中靖規/集英社・サマータイムレンダ製作委員会

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