『ちむどんどん』暢子と和彦は次の世代に何を残す? 2人の背中を押す戸次重幸の言葉

 暢子(黒島結菜)と和彦(宮沢氷魚)の間に第一子・健彦が誕生。健彦という名前には、「心が健やかに育ちますように」という願いが込められている。

 『ちむどんどん』(NHK総合)第24週が幕を開け、舞台は4年後の1984年へ。その名の通りすくすく元気に成長した健彦(三田一颯)を連れ、里帰りした暢子にある心境の変化が現れた。

 暢子の店「沖縄の味 ちむどんどん」は猪野養豚の豚肉もお客さんから好評で大繁盛。歌子(上白石萌歌)はやんばるに帰ったが、頼もしい料理人の矢作(井之脇海)と新たに加わった従業員もいて、暢子が不在でも店は回るようになっていた。

 仕事の合間も重子(鈴木保奈美)や多江(長野里美)らが代わる代わる健彦の面倒を見てくれる。周りのサポートもあり、何の不満もない充実した日々を過ごす暢子。だが、自分の子どもの頃のように健彦を伸び伸びと遊ばせてあげる場所が東京にないことが内心気になっていた。

 一方、和彦はフリーの記者として雑誌で自分の連載を持たせてもらえるまでになっていたが、ひとつ不満があった。それはまだ沖縄特集記事を組ませてもらえないこと。本当にやりたい仕事ができないジレンマに和彦は悩まされる。そんな2人は今回の里帰りをきっかけに、沖縄の魅力を再認識するのだった。

 生命力に溢れた亜熱帯の森に、どこまでも透き通るコバルトブルーの海。暢子の“ふるさと”であるやんばるは決して便利ではないが、豊かな自然に恵まれた素晴らしい土地だ。暢子と和彦にそのことを教えてくれたのは、和彦の父・史彦(戸次重幸)だった。2人はやんばるの地で、史彦がくれた言葉を思い出す。

「最初はなかなか馴染めなくても、思い切って一歩踏み出したら何とかなる」

 沖縄での暮らしを経て、そう学んだ幼き日の和彦(田中奏生)はアメリカ留学を決意。そんな息子を史彦は「思ったとおりにすればいい。応援するよ」と鼓舞した。時を経て、その言葉は迷いの最中にある現在の和彦をも励ます。史彦が遺してくれたやんばるの実地調査のノートを見つめる和彦の瞳は何かを決意したようだった。

関連記事