ナンニ・モレッティ監督自ら裁判官の父親役を演じる 『3つの鍵』本編映像&新場面写真公開
9月16日公開のナンニ・モレッティ監督最新作『3つの鍵』より、本編映像「3階に住むヴィットリオとドーラ編」と新場面写真が公開された。
本作は、これまでオリジナルにこだわってきたモレッティ監督が、イスラエルの作家エシュコル・ネヴォのベストセラー小説『三階 あの日テルアビブのアパートで起きたこと』に惚れこみ映画化したもの。
ローマの高級住宅街。ある夜、建物に車が衝突し女性が亡くなる。運転していたのは3階に住む裁判官夫婦の息子アンドレアだった。2階のモニカは夫が長期出張中のため1人で出産のため病院に向かう最中で、1階の夫婦は仕事場が崩壊したので娘を朝まで向かいの老人に預けることにした。小さな選択の過ちが、予想もしなかった家族の不和を引き起こし、彼らを次第に追い詰めていく。
公開された本編映像「3階に住むヴィットリオとドーラ編」は、3階に住むアンドレア(アレッサンドロ・スペルドゥティ)が、ある夜車で事故を起こし、1階の壁に激突。父のヴィットリオ(ナンニ・モレッティ)と母ドーラ(マルゲリータ・ブイ)が、車の中で呆然とするアンドレアの元へ駆け寄る、映画の始まりのシーンだ。
驚きに目を見開き、息をのむ少女。車が1階を突き破り、部屋に佇む少女の前で停止したのだ。運転席には、血を流しながら青ざめた表情のアンドレアが座っている。ヴィットリオとドーラが、アパートの門から寝間着姿のまま飛び出し、事故現場に走り寄る。壊れた壁から外に出てきたルーチョが、慌てふためく2人に「大丈夫だ、心配ない」とアンドレアの様子を伝える。ヴィットリオはその言葉を聞くと、「女性の様子を見てくる」と車の中を覗きもせず、うろたえるドーラを置いて道路の方へと歩いていく。アンドレアの車は、道路を歩く女性を跳ねた後、アパートの1階の壁に激突したのだ。
ドーラが車の運転席へ近づきアンドレアに「大丈夫?」と話しかけると、アンドレアは「パパもいる? どこ?」と父の存在を気にしている。「女の人の様子を見に」とドーラが答えると、彼は「女の人?」と事故の記憶がなく動揺する。ドーラはアンドレアを落ち着かせようとするが、彼は「来させないで、お願い」と懇願。アンドレアの言葉に戸惑いながら、ドーラは夫ヴィットリオを探す。衝撃の事故によって、父と息子の不穏な関係、母が男たちの間で板挟みになる様が映し出される。
被害にあった女性と、加害者となった3階に住む家族、そして事故を目撃し巻き込まれる形となったアパートの住人たち。それぞれの運命はこのあとどうなっていくのか? スリリングで緊迫感のある映像となっている。
また、本作をいち早く鑑賞したフリーアナウンサーの久米宏、俳優・作家・歌手の中江有里、精神科医の斎藤学から本作へのコメントが寄せられた。
コメント
久米宏(フリーアナウンサー)
監督の腕の冴えに嫉妬を覚えます
評判の板前がいるという寿司屋
のれんをくぐってカウンターの前にゆったりと座る
これがこの作品を鑑賞する心構えです。
中江有里(俳優・作家・歌手)
幸福は美しいものとは限らない。
失って初めてわかるのが、本当の幸福だと教えてくれた。
斎藤学(精神科医)
冒頭、観客は次々に映される意味不明で衝撃的な「現在」に直面させられる。
話は5年後、10年後へと進み、当初感じた混乱と絶望が、静かな諦念と希望に終わる後味に陶酔した。
■公開情報
『3つの鍵』
9月16日(金)より全国順次公開
監督:ナンニ・モレッティ
原作:エシュコル・ネヴォ
脚本:ナンニ・モレッティ、フェデリカ・ポントレモーリ、ヴァリア・サンテッラ
出演:マルゲリータ・ブイ、リッカルド・スカマルチョ、アルバ・ロルヴァケル、ナンニ・モレッティ
配給:チャイルド・フィルム
後援:イタリア大使館
特別協力:イタリア文化会館
2021年/119分/イタリア・フランス/ヴィスタサイズ/原題:Tre piani/字幕翻訳:関口英子/R15+
©2021 Sacher Film Fandango Le Pacte
公式サイト:https://child-film.com/3keys/