ヴァンパイアハント=HIPHOP? 暑い夏に観たい最高にゴキゲンな映画『デイ・シフト』

 夏なんだし、肩の力を抜いてビールを飲みながら気軽に楽しめる映画が観たい。どうせ外に出たところで馬鹿みたいな暑さにうんざりしてくるんだから。クーラーの効いた部屋にこもってYogiboのクッションでくつろぎながら怠惰にNetflixの映画を観たほうがいい。それこそ、『ブレイド』(1998年)のようにヴァンパイアをめちゃくちゃたくさん殺す映画だ。それもスタントマン出身のアメリカ人が監督しているような作品で、アクションのクオリティが高いやつ。西海岸のHIPHOPが流れていて、スヌープ・ドッグが出てくるとなお良い。問題は、果たしてそんな都合の良い映画があるかということだ。驚くべきことに、先日Netflixで配信されたジェイミー・フォックス主演のホラーコメディ映画『デイ・シフト』は西海岸HIPHOPに溢れたヴァンパイア映画であり、スタントマン出身のJ・J・ペリーが監督を務めている。おまけにスヌープ・ドッグが出てきてミニガンをブッ放す。というわけでこの夏オススメの映画『デイ・シフト』をご紹介。

 個人的意見を言わせてもらうと、鼻持ちならないヴァンパイアをショットガンで吹っ飛ばす映画は最高だ。中学生の時に『午後のロードショー』で観賞した『ブレイド』は十代の自意識を全力で狂わされたし、ジョン・カーペンター監督の『ヴァンパイア/最期の聖戦』(1998年)は男の友情について一家言をもつものなら誰もが観るべき名作だ。本作もそれらの例に漏れず、むしろ自覚的に鼻持ちならないヴァンパイアをショットガンで吹っ飛ばす楽しさを突き詰めている。全編に渡ってなるべく多種多様なヴァンパイアの死に方を見せてやろうという心意気に溢れており、これ一本で一生分のヴァンパイアの死に様を観賞できる。最高のエンターテインメント・ヴァンパイア映画。それが『デイ・シフト』なのだ。

 近年、ハリウッドではスタントコーディネーターの映画監督デビューが進んでいるが、本作もそんな作品のひとつだ。監督を務めたJ・J・ペリーは『デッドロック II』(2006年)や『ブラッド&ボーン 真拳闘魂』(2009年)など、評価の高い格闘アクション映画のスタントコーディネーターを務めている。そんなわけでアクションを熟知したJ・J・ペリー監督が見せる「ヴァンパイアの殺し方」が最高だ。例えばヴァンパイアの弱点といえば木の杭だが、なんとそれが可変ヌンチャクとなっており、それを使ってスコット・アドキンスがヴァンパイアをボコボコにする、といった具合だ。他にもジェイミー・フォックスがショットガンの引き金を引く度にヴァンパイアが面白い吹っ飛び方をするし、創意工夫に満ちたアクションを全編に渡って見ることができる。また、本筋の物語がどこかで見たようなバディ映画なのも良い。一方は情けない内勤の男で、ちょっと抜けた性格をしている。もう一方は現場主義の情け容赦ないタフな男で、家族の問題を抱えており常にイライラしている。どこかで見たようなバディだが、だからこそ余計なことを考えずに気楽に映画を観れる。いちおう悪のヴァンパイアがなにやら陰謀を巡らせているが、それもどうせジェイミー・フォックスが吹っ飛ばしてしまうので深く考える必要はない。重要なのは、くだらなくて最高の一日を過ごすのに最適な映画ということだ。

 本作を語る上でHIPHOPの存在を欠かすことはできないだろう。スヌープ・ドッグが出てくる、というだけの話ではない。ロサンゼルスが舞台の本作は、西海岸HIPHOPを中心に最高の音楽で彩られている。冒頭から流れる西海岸HIPHOPを代表する伝説的名曲「California Love」は、日本のジメジメした一室で映画を観るあなたの意識をカラッとした気候のロサンゼルスまで運んでくれる。それからアイス・キューブの「Check Yo Self」やニプシー・ハッスルの「Grinding All My Life」。極めつけはスヌープ・ドッグ feat.ネイト・ドッグの「Outside The Box」が映画をより最高のものにしてくれる。

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