圧力を乗り越えた『時代革命』が突きつける“自由”の重さ いま知るべき香港の真実が映る

 一方で、誤解を恐れずに言えば、ドキュメンタリー映画としては本作はあまりに綺麗な映像ばかりだ。現場で撮影された緊迫感のある映像だが、時折ハッとするほどの映像美に溢れた画が映る。そういった点でキウィ・チョウ監督の作家性のようなものを感じ、また同監督が何を伝えたかったのかが伝わってくる。しかし、ラストシーンで突如始まる合唱には少し首を捻ってしまった。まるでフランス革命を題材にした『レ・ミゼラブル』の「民衆の歌」のように感じてしまい、誰に向けて何を狙って作られたのか、いきなりあからさまな表現がされたのが個人的には違和感だった。もちろん、合唱の力強さや美しさは素晴らしいものだったが。

 2時間半というドキュメンタリー映画ということで、気軽に映画館に観に行こう、とは思えないかもしれない。ただ筆者個人の感想で言えば、最近観た/読んだ作品の中で間違いなく1番学びを得た作品だった。なぜなら筆者は『時代革命』という言葉を見てピンとこない側の人間だったからだ。本件に関して詳しい人もそうでない人も、何かしらの学びがある作品であることは間違いない。『ONE PIECE FILM RED』でAdoの「新時代」を聴いて高まった気分のまま、軽率に劇場に足を運んでしまうのをおすすめしよう。

ドキュメンタリー映画『時代革命』

参照

※1. https://globe.asahi.com/article/14690935

■公開情報
『時代革命』
8月13日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開
監督:キウィ・チョウ
配給:太秦
2021年/香港/カラー/DCP/5.1ch/158分
(c)Haven Productions Ltd.
公式サイト:jidaikakumei.com
公式Twitter:@jdaikakumei

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