古川琴音がNHKに“凱旋公演”! 朝ドラ『エール』から特集ドラマ『アイドル』までの歩み

 今回の『アイドル』は古川にとって『コントが始まる』以来、1年2カ月ぶりという久々の地上波ドラマ出演でもある。しかし、きっと多くの者がそのことに対して意外だと思うだろう。その間の記憶を繋いでいるのは、彼女のCM出演の多さだ。『エール』出演のきっかけの一つとなったJT「想うた」シリーズをはじめに、「Renta!」、「Paravi」、「アットホーム」、「三井住友カード」、「サントリー ほろよい」と引っ張りだこ。トレードマークである笑顔、さらに彼女の声が多くのCMで印象的にフックアップされている。

 『アイドル』でも序盤はきっと古川の声に夢中になるはずだ。岩手から上京してきた訛りの強烈な15歳・小野寺とし子(後の明日待子)は、古川にとって最もおぼこさの残る役柄と言えるかもしれない。そこから劇場支配人・佐々木千里(椎名桔平)や看板女優・高輪芳子(愛希れいか)、看板俳優の山口正太郎(山崎育三郎)らと出会い、女優でもスターでもない“アイドール”となることを目指していく。

 劇場を代表する不動のセンターとして艶やかなオーラを帯びながら成長していくその過程も必見だが、筆者が観ていて心を掴まれたのはある事実を知った待子が絶望の淵に沈んでいき、そこから必死に這い上がっていくシーン。脚本を担当している八津弘幸が手掛けた朝ドラ『おちょやん』(NHK総合)の要素もありながら、筆者が重ね合わせたのは同時代が描かれている『エール』だった。特に『エール』の戦中〜戦後パートに胸打たれた方にはぜひ観てほしい作品である。

■放送情報
特集ドラマ『アイドル』
NHK総合にて、8月11日(木・祝)19:30〜20:43放送
NHK BSプレミアム(BS4K同時)にて、8月29日(月)21:00〜22:29放送
出演:古川琴音、山崎育三郎、愛希れいか、正門良規(Aぇ! Group/関西ジャニーズJr.)、田村芽実、椎名桔平ほか
作:八津弘幸
音楽:宮川彬良
制作統括:内田ゆき
プロデューサー:渡辺哲也、石村将太
演出:鈴木航
ステージ演出:池田泰洋
写真提供=NHK

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