『怪獣8号』ついにアニメ化決定! 制作会社やキャスト陣に高まる期待

 集英社による『少年ジャンプ+』(以降、ジャンプラ)の勢いが今、すごい。4月期にアニメが放送され、世界中で話題を呼んだ遠藤達哉原作の『SPY×FAMILY(スパイファミリー)』に加え、水あさと原作の『阿波連さんははかれない』、田中靖規原作の『サマータイムレンダ』も映像化されたばかり。その間にも赤坂アカ×横槍メンゴによる『推しの子』が、昨年末には賀来ゆうじ原作の『地獄楽』のアニメ化が決定するなど、もはやジャンプラの話題作は全て映像化されるのではないかというくらいの勢いだ。

 そして、ついにジャンプラにおいて中堅的な存在の大人気シリーズ『怪獣8号』のアニメ化が決定した。本作は、2020年7月3日より連載が開始された、松本直也原作のSFバトルアクション作品。主人公の日比野カフカは、“怪獣大国”日本に住みながら、子供の頃に幼なじみと交わした「怪獣を全滅させる」という約束を果たせないまま、怪獣死体解体業者として日々を過ごしていた。彼は何度も怪獣を討伐する防衛隊に入隊しようと試みていたが、受かることはなかった。しかし、ある日入隊の年齢制限が上がったことで、再び試験に挑もうとする。ところが、それと同時に謎の生物が口の中に入ったことで彼の身体は“怪獣化”し、変身できるようになってしまった、というのが本作のあらすじだ。

 ジャンプ作品としては、32歳のうだつのあがらない主人公像がかなり新鮮で、大人が再び過去の自分の約束を果たそうと“諦めかけた夢を追う”のが一つ大きな作品のテーマとして挙げられる。加えて、主人公を奮い立たせる解体業者の後輩であり新人・市川レノが、初めから唯一「怪獣8号」と命名されたカフカの正体を知る人物として彼をサポートするバディ要素も味わい深い。さらに主人公が幼き頃に「守る」と約束した幼なじみの亜白ミナが怪獣を討伐する日本防衛隊の第3部隊長としてすでに活躍しており、カフカが入隊後は上官という立場になるのも歯痒さがあって、ある意味大人の青春を感じさせられる。

 そんなふうに、さまざまな見どころが満載の本作は、まさにアニメ化されて当然の作品と言っても過言ではない。映像化される上で、「怪獣を倒す」という動的なアクション要素が光るからだ。もちろん、怪獣化した主人公の戦闘シーンはファンが最も期待したい部分である。くわえて原作漫画では、死骸の解体処理などの非戦闘シーンもスケールが大きく描かれていることから、これらも映像にするとますます見応えがあることだろう。さて、そこで問題になってくるのは、どのアニメ制作会社が本作を手がけるかだ。

 普通、アニメ化決定の際は声優が明かされなくても制作会社がセットで発表されるパターンが多い。その場合、スタジオのこれまでの実績や作品を考えながら、何となくアニメがどういった方向性の作品になるかが検討できるわけだが、『怪獣8号』に関してはここが一切明かされていない。公開されたPVやティザービジュアルにはキャラクターが一切登場せず、作品の世界観や雰囲気が味わえるようなものになっている。ある意味、制作会社を明かさずとも作れる工夫が見受けられるが、映像化が決定しているのにまだスタジオが決定していない、ということもあるのだろうか。あえて隠しているのであれば、その理由が気になってくる。

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