『プリズム』藤原季節が森山未來への未練で揺れる 皐月が吸収する陸と白石の“光”
結婚の“ふり”で自分たちの居場所を守ることにした皐月(杉咲花)と陸(藤原季節)。おかげで、一時は存続の危機に見舞われたリガーデンプロジェクトを続行できることになったが……。『プリズム』(NHK総合)第4話では、陸の心が波立ち始める。
プロジェクトが無事に成功し、会社としての信頼を取り戻すまで、陸の父・朔治(矢島健一)が重役を務める銀行から融資を受け続けられるか。それは皐月と陸が、たとえ演技でも本当に結婚する意思を朔治に示せるか否かにかかっている。2人は覚悟を決め、ひとまず陸の家族へ挨拶をすることに。だが、出会って間もない2人のぎこちなさは朔治に伝わってしまうのだった。
皐月と陸の思惑を見抜いているかのように、2人の結婚を早急に進めようとする朔治。促されるまま、耕太郎(吉田栄作)にも交際の報告をすることになった皐月と陸だが、心から喜ぶ耕太郎の姿に陸は複雑な感情を抱く。耕太郎から「僕にとって一番大事なのは娘の幸せなんです」とまっすぐな瞳を向けられ、陸が視線をそらしてしまったのは彼の中に迷いがあるからだろう。
そして、その迷いの正体はやはり白石(森山未來)への未練。かつて陸と白石は生徒と先生という間柄でありながら、恋に落ちた。そのことを知る由もない皐月は、ガーデナーとしての白石に興味を持ち始める。きっかけは白石がプロジェクト内で、廃棄予定であるオリーブの植栽を提案したことだった。
たとえ効率的ではなかったとしても、弱ったものを捨てられない性分だという白石。最初は見栄えが悪くても、時間が経てば葉が茂り、実をつけ、また別の景色が見えてくるかもしれない。彼の言葉は植物だけに限らず、すべての生き物に向けられたものであるように感じた。皐月や陸が白石に心惹かれるのは、どこか“劣等生”に思える自分をも、彼が肯定してくれるように感じるからかもしれない。
だから複雑な関係にもかかわらず、白石と並ぶ皐月と陸は良い土壌を得た植物のようだ。会話が自然体で、ドラマなのにドキュメンタリーを観ているかのような不思議な気分にさせられる。特に印象的だったのは、「葉っぱの色が、実は緑じゃない」という話だ。