ディーン・フジオカが振り返る『パンドラの果実』の半年間 「人間は常に問われている」

 2022年4月クールで放送されていた日本テレビ系土曜ドラマ『パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル〜』が現在、新作となるSeason2とともにHuluで独占配信中だ。

 主演のディーン・フジオカが演じるのは、最愛の妻を亡くし、科学犯罪対策室を創設した警察官僚・小比類巻祐一。今回、約半年間にわたって作り上げてきた本作について、ディーンにインタビュー。Season1からSeason2までの見どころや、同時期に劇場公開された『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』、『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー/最後の錬成』など大活躍なディーンの今後の展望についても話を聞いた。

「何を選ぶかは使う人類次第」

――Huluオリジナル『パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル〜』Season2も引き続き、岸井ゆきのさん、ユースケ・サンタマリアさんとの共演となりますが、お芝居をしていく中で息が合ってきたという感覚はありますか?

ディーン・フジオカ(以下、ディーン):そうですね。シーズン1はずっとトリオでやっていますし、振り返ってみると一緒にいる時間が長いですね。2人ともすごく面白くて、ムードメーカーとしてそれぞれのスタイルがあって、現場の空気を華やかに、明るくしてくれています。それぞれの部署がそれぞれの仕事をするために集まっていて、どうせ同じ時間を過ごすのであれば、楽しい思い出になった方が良いと思うんです。そこに対してもパッションを感じる方々なので、一緒にやらせてもらえてすごくやりやすかったですね。シーズン2からは、(吉本)実憂ちゃんが登場したり、シーズン1の佐藤隆太さんが続投したりで、トリオとはまた違う形の編成ができてきたなと思ってます。

――吉本実憂さんが新しく加わったことで、なにか変化があれば教えてください。

ディーン:彼女はアクションに対して向上心や興味があるので、現場でそういう話をしています。僕はアクション撮影に使うときの武器セットやボクシングの道具など、運動用の機材をたくさん持っているのですが、それを前室(スタジオ撮影の待機場所)に持っていくと、実憂ちゃんが興味を持ってくれて、使い方を教えてほしいと質問してくれるんですよ。教えるのはとても楽しいですし、実憂ちゃんが来てからは、そういう現場の盛り上がりが生まれました。

――シーズン2の脚本を読んだときの感想はいかがでしたか?

ディーン:実はシーズン2の脚本も結構早いタイミングで頂いていたんです。シーズン1を撮っている途中でしたが、改めて脚本が撮影前に全話揃っているのはいいなと思いました。普段、連続ドラマを撮るときには、終わりが見えない中で1話、2話、3話と撮り進めることも多いので、改めて基本は大事だなと思いました。結局、脚本に書かれていることが全ての設計図であり、その骨組みがあるからこその演技や演出になるので、ゴールが見えていると、ディスカッションの質も変わってくる。内容に関しては、シーズン1に比べてシーズン2の方が思い切った展開になっていると思います。シーズン2の脚本には「ここはどうやって撮るんだろう」と思うような部分もあって、ワクワクしましたね。

――シーズン1を観ていたファンを、さらに驚かせるような内容になっていますよね。

ディーン:シーズン1の8話からのラストスパートがスリリングな展開になっていて、個人的にはとても好きでした。シーズン1で完結はしているわけですが、シーズン2はシーズン1を観ていればより楽しめるような作品になっています。シーズン1からの流れを汲み取りつつ、また新たな物語がこのメンバーでスタートします。

――「科学」「テクノロジー」など、今作のテーマに関してはいかがでしたか?

ディーン:このテーマに関しては興味を持って向き合えたと思っています。新しいテクノロジーが生み出す光と闇は常にあるわけで、それをどう使っていくのかは自分たち次第である、人間は常に問われているなと。そこで社会の構造的に法律が設置され、人々の日常の中に新しいテクノロジーが恩恵をもたらす。それが最先端であれば、人々は常に自問自答し、価値観も揺さぶられていると思うんですよ。「これをやれたら便利だけれど、逆の角度から見れば」というのは常に問われていて、何を選ぶかは使う人類次第です。小比類巻は常にそこを問われているキャラクターなのですが、それでも彼は科学がもたらす光を信じていたい。「パンドラの箱の中に最後に残る希望」を象徴していると思ってこの役を演じてきています。とはいえ、小比類巻が医学的に死亡と判定されている妻を冷凍保存して延命させようとしていることは、端から見たら独りよがりなエゴと思う人もいるわけで。でもこれは彼の妻への愛ゆえの行動なんです。娘に対しても父親の責任感と愛情があるからこそ、シーズン1の最終章でそれが爆発して肉弾戦をともなうシーンに繋がりました。やはり物事には常に両面あるということですね。科学の発達が人間をどう揺さぶるのかということには個人的な興味を持ちながら、このプロジェクトに臨ませてもらっています。

関連記事