賢秀が騒動を起こすと暢子の人生に変化が訪れる? 『ちむどんどん』の法則

 比嘉家の長男でトラブルメーカーの賢秀(竜星涼)は、超がつくほどのダメ兄貴。口では「ビッグなビジネスを仕掛けて星をつかむ」とは言っているが、いまだその兆候は……ない。

 妹たちも、やんばるの人たちも、彼に関わりがある東京や鶴見に住む人も、ひいては『ちむどんどん』(NHK総合)の視聴者までも、彼にうんざりすることが多々あるだろう。だが、当の本人は、どんなに落ち込むことがあっても、また立ち上がって前へと進んでいく。当初は彼が“やらかす”たびに「何やってんだ!」と怒っていたけど、次第に彼の人間性や愛くるしさに親しみを感じている自分がいる。あの負け顔がたまらなくなるのだ(筆者だけ?)。

 そんな賢秀はトラブルを起こすたび、たくさんの人を巻き込むのだが、特に被害を受けているのは、妹の暢子(黒島結菜)だろう。ただマイナスなことだけではない。じつは、賢秀が“やらかす”と、暢子に人生の転機が訪れることが多々あるのだ。

 暢子が高校生のとき、賢秀が人を殴って警察のお世話になった。先に相手が暴力をふるってきたこと、近所の人が突き飛ばされたことへの報復だったこともあって、同情の余地もあるのだが、相手が悪かった。その相手は、暢子が就職予定だった「眞境名商事」の社長の息子だったのだ。謝罪のため、暢子が同社を訪れたことで状況は変わっていく。結果的に、会社への不信感が募り、就職を断ることに。のちに料理への情熱をたぎらせ「レストランで働きたい」という夢を持つことへと繋がっていく。賢秀のトラブルがなければ、彼女は自身の夢を見つけることが遅れていたかもしれない。

 暢子が上京したときもそうだ。彼が所属しているボクシングジムに行くと、ファイトマネーを前借りし、仲間にも金を借りまくっていた賢秀が、行方不明になったことを告げられる。暢子は、鶴見に何度か足を運んでいたとの情報を聞き現地へ。そこで偶然にも沖縄県人会会長・平良三郎(片岡鶴太郎)と出会い、のちに働くこととなる西洋料理店「アッラ・フォンターナ」を紹介してもらうことになった。彼が行方不明にならなければ、今の店では働くことがなかったし、のちに再会する和彦(宮沢氷魚)とも会えなかっただろう。

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