『監察の一条さん』かわいい×かわいい=最強! 吉田鋼太郎&吉岡里帆をもっと観ていたい

 定年間近で仕事をサボってばかりの“ゆるふわ”監察官・一条善太郎(吉田鋼太郎)と、警視庁捜査一課で華々しい実績を積んできた“毒舌美人”監察官・結城まりあ(吉岡里帆)。年齢も、仕事へのスタンスもまったく異なる凸凹コンビによる一夜限りの刑事ドラマ『監察の一条さん』(テレビ朝日系)が放送された。

 まりあの言葉を借りるなら、監察官は「警察の警察」。違法・触法行為の疑いがある警察官の監視と事実関係の裏付けを主な業務とする。身内を疑うのが仕事で、いわば組織の嫌われ役でもある。おそらく『相棒』(テレビ朝日系)の大河内監察官(神保悟志)や『科捜研の女』(テレビ朝日系)の芝監察官(戸田菜穂)みたいな、規律を重んじる厳格な人物を想像するのではないだろうか。しかし、このドラマはそんなイメージを覆す「最高にキュートでポップなゆるふわ監察官バディ」が事件を解決するという新しさがあった。

 物語は、まりあが結婚式の当日に新郎からドタキャンされるところから始まる。面白いのはこの新郎が一度も登場しないこと。「2人の関係性は?」「なぜ彼は結婚式に現れなかったのか?」等々、浮かび上がった疑問は最後まで解消されない。だけど、物語を観ていくうちにその理由が何となく分かってくる。まりあはプライベートよりも仕事優先。とにかく真面目で、人の過ちが許せない頭の固いところがある。

 そんな彼女を異動先の監察係で陰ながら導いていくのが、何もかも規格外の監察官・一条だ。『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)で、田中圭演じる主人公にピュアな想いを寄せる黒澤部長を演じて以来、“かわいいおじさん”の印象が強い吉田。今回も「テヘペロ」「ぴえん」など、ちょっと古いJK言葉を使いたがる、なぜか憎めない中年男性を全力でラブリーに熱演している。だけど、実は人や物事の本質を見抜く監察官としての才能を隠し持っているのが一条の魅力。いつもサボっているように見せかけ、対象者の懐に入り込んで有力な情報を得るかなりの策略家なのだ。

 監察係長の瑠璃子(南果歩)から命じられ、バディを組むことになった2人は若い女性と何度も密会しているという交番勤務の警察官・大木(菅原大吉)の素行調査を担当することに。そこでも監察官という立場なのに、「対象者を知るには仲良くなることが一番」と安易に大木に近づく一条。そんな中、大木が女性と別れた後に会っていた男が、行方不明中の警察官が所持していた拳銃で殺される事件が発生してしまう。

 実は3年前に起きた婚活パーティでの爆発事故で一人娘を亡くしていた大木。殺された男性はその場に居合わせ、動画リポートで一躍有名となった記者だった。しかし、撮影に夢中で救助活動を怠ったという批判も一部あり、大木には彼を恨む理由がある。さらに拳銃の持ち主である警察官は大木の元部下で、行き過ぎた指導により謹慎処分を受けた過去も。その後、殺された警察官の遺体から大木の毛髪が発見され、捜査本部は大木の身柄を拘束に向かう。しかし、その直前に大木が拳銃自殺したことで、今回の事件は被疑者死亡で書類送検になることが決まった。

 そこで立ち上がるのが、まりあだ。警察官としてではなく、ひとりの人間として対象者の本質に迫る一条の姿勢を学んだ彼女は、大木が調べ直していた3年前の爆発事故の真相を突き止める。それは、亡くなった記者を含む3人の男が身勝手な理由で故意に起こした“殺人事件”だった。だけど、今回の事件を起こしたのは大木でも、彼らでもない。まりあの元上司で、イケメンエリート刑事として登場した椎名(鈴木伸之)だ。

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