『トイ・ストーリー3』ピクサーの精鋭が見せた本気の遊び心 感涙必至のラストシーンも

 笑いの絶えない本作だが、観客に大粒の涙を流させることももちろん忘れない。それがかのディズニー史上、いや、映画史上屈指の名シーンとして語り継がれるラストシーンだ。

 喪失、回顧、友情……さまざまな感情がないまぜになり、一度に押し寄せてくるアンディとオモチャたちのシーンでは、アンディというひとりの少年の成長が描かれるとともに、彼を愛するオモチャたちがその成長を受け入れ、自分たちの役割について立ち返る。輝かしい黄金色の記憶を呼び起こすような情緒にあふれたカメラワーク、優しさに満ちた音楽。すべてが彼らにとって忘れがたいであろうプレシャスな場面に寄り添い、映画は終わりを迎える。

 最後のカットには、制作陣からのささやかなプレゼントとでもいおうか――、これまでシリーズを追ってきたファンに向けての粋な演出が隠されているので、どうぞ一緒に「空を見上げて」みてほしい。そこに浮かんだ雲を観たとき、きっと映画に対しての特別な感情が芽生えていることに気づくだろう。

 そして始まる、陽気で微笑ましいエンドロール。そう、『トイ・ストーリー』はこうでなくてはいけないのだ。スペイン語モードのバズは果たして元に戻ることができたのだろうか? その答えは、ぜひ映画を最後まで観て知っていただきたい。

■放送情報
『トイ・ストーリー3』
日本テレビ系にて、6月17日(金)21:00〜22:54放送
声の出演:所ジョージ、唐沢寿明、日下由美、辻萬長、松金よね子、大塚周平、永井一郎、勝部演之、小野賢章
監督:リー・アンクリッチ
脚本:マイケル・アーントほか
製作総指揮:ジョン・ラセター
(c)Disney/Pixar

関連記事