『ナンバMG5』本音を吐露する剛に浮かぶ悔しさ 大切な場所を守る間宮祥太朗がたまらない

 家族に内緒で健全な高校に入学した、筋金入りのヤンキー一家「難破家」の次男・剛(間宮祥太朗)。その順調な二重生活が、唐突に終わりを告げた。

 事の発端は、兄の猛(満島真之介)が剛の部屋に洗濯物を持って行ったとき偶然に剛の進路調査票を見つけたことから始まる。学校帰りの剛を捕まえて「市松の頭張ってて、全国狙ってるはずのおめぇの部屋から白百合のこんな紙が出てきて、美大がどうとか書いてんだ」と猛。あえて、大きな声で責め立てるのではなく、静かに淡々と責めるのが怖い。

 そこからの猛は止まらなかった。「なにもそんなに怒らなくても……」と視聴者が心配になるほどに激昂し、剛に手を上げる。しかし猛も猛なりに辛かったのだろう、家族を誇りに思う猛の「おめぇに、弟を疑う気持ちがわかんのかよ」の一言には、そんな苦しみが詰まっていた。そんな兄弟の喧嘩を見ていた難破家の芝犬・松(津田健次郎)の「アニキ、猛兄ぃ、もうやめてくれよ」の言葉は、視聴者の気持ちを代弁しているようだった。

 このことがきっかけで剛は白百合高校に通っていることを、床に正座して、自分の口から両親に告白することになった。告白を聞いた父・勝(宇梶剛士)は「正直に言ってくれりゃあ……」と激怒したのち、顔の見えないソファ席へと移動。しかし、剛が言うように、もしも中学3年生の進路を決めるタイミングで「白百合高校に行きたい」と言ったら、父・勝、母・ナオミ(鈴木紗理奈)、そして猛は許してくれたのだろうか。「しゃべぇこと言ってんじゃねぇよ」って冗談のように扱い、剛は本音を言えないままでいることになったんじゃないかと想像してしまった。

 勝以上に激怒するナオミから「特服を脱げ」と言われ、静かに立ち上がる剛。悲しい顔で「教えてくれよ、俺、自分の行きたい学校行っただけだろ? 俺のしたことって、そんなに悪いことかな?」と言った後で、怒りを爆発させるかのように「俺だってよぉ、好きでこんな生活送ってたんじゃねぇよ」と叫ぶのだが、ここでの緩急のあるセリフの言い方は表情豊かな間宮祥太朗の良さが凝縮されていた。さらに、悲しみと怒りを入り混ぜたような表情で「こんな家に生んでもらって迷惑なんだよ」と続いた、このセリフ。大好きな家族、大好きな白百合高校での生活……自分にとって何にも変えられない大切なことが共存できたら、どんなに幸せだっただろう。剛の表情には、そんな悲しみや苦しみ、悔しさが込められていたように感じた。

 さらに、この間、勝がずっと眉間にしわを寄せていたのも印象的だった。剛に対する怒りというよりも、剛の気持ちを静かに想像していての表情なのだろうか。そうだとしたら、どうか剛を許す一言を言ってほしかったとも思ってしまった。

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