『17才の帝国』の続きは我々の未来へ 神尾楓珠、星野源ら記憶に刻まれたキャスト陣の好演

 『17才の帝国』は真木のような若者と言われる立場と平のような経験を積んだ大人とでは感じるものは大きく違うかもしれない。何かを得る代わりに大切なものも失った真木と平。それでも、それぞれが信じる青い夢を追いかけることはできる。

 NHKとして革新的かつ挑戦的なドラマの中で、17才の総理として表情こそ少なかったものの最後のランタン祭りでは20才の少し大人になった笑みを見せてくれた神尾楓珠を筆頭に、サチとユキという驚きの1人2役を演じ分けた山田杏奈、第4話での独白シーンをはじめ近年の出演作としては一線を画す“負”の演技を見せつけた星野源といったキャスト陣。そして、脚本の吉田玲子をはじめ、制作統括の訓覇圭、プロデューサーの佐野亜裕美、演出の西村武五郎、桑野智宏、音楽の 坂東祐大といった座組みが揃わなければ、これほどの破格のSFドラマは生まれなかっただろう。

 最後に新聞記者の山口(松本まりか)が原稿にする「ソロンはなぜ彼(真木)を選んだのか」という問いかけは、実際に“サンセット・ジャパン”へと向かっていく現実社会の我々も考える必要のあるテーマである。

 そして、放送終了後にYouTubeへとアップされた主題歌「声よ」のMVは、ローダンセが生けられた花瓶のエンドカードに続くエピローグのように思えた。

声よ - 坂東祐大 feat. 塩塚モエカ(羊文学)

■放送情報
『17才の帝国』
NHK総合にて、毎週土曜22:00〜放送(全5回)
出演:神尾楓珠、山田杏奈、河合優実、望月歩、染谷将太、星野源ほか
作:吉田玲子
制作統括:訓覇圭
プロデューサー:佐野亜裕美
演出:西村武五郎、桑野智宏
写真提供=NHK

関連記事