笠松将「自分だけの“一番”を証明していく」 『TOKYO VICE』を経てさらなるステージへ

衝撃だった山下智久の俳優としての在り方

ーー本作では日本語よりも英語を喋っている時間の方が長いぐらいですが、その点はいかがでしたか?

笠松:最初は戸惑いもあったのですが、根本的には英語だろうが日本語だろうが変わらないんじゃないかなと。僕たちが表現するのは、作品に登場する人間なわけで、英語をうまくしゃべることは目的ではないわけです。佐藤は英語をしゃべることができるキャラクターでしたけど、日本人だし、英語が上手いか下手かは佐藤を演じる上では重要じゃないなって。

――確かに。「日本人俳優の英語力」がよく話題になりますが、基本的には生粋の「アメリカ人/イギリス人」を演じるわけではないですもんね。

笠松:もちろん、海外でも仕事をしていきたいし、そのために英語が重要になってくることは理解しています。ネイティヴレベルの英語が必要な役ならそのための準備もするつもりです。ただ、英語をうまくしゃべることと英語でいい演技をすることはイコールではないので、そこは間違えないようにしないといけない。発音にこだわっているうちは芝居に集中できていないのと同じなので、『TOKYO VICE』では発音の良し悪しについては途中からほとんど考えていなかったですね。

ーー具体的なシーンについても聞かせてください。第3話でサマンサに佐藤がドレスを贈るシーンがあります。2人の関係性が美しく、非常に官能的でした。

笠松:ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいのですが、完成したものを観てみると、もっとできたなと思うばかりで。このシーンもいいところをうまく切り取っていただいて、レイチェルにも助けられたシーンでした。

ーーサマンサが服を着替えるところで、佐藤は視線を外します。そのあたりにも彼の人間性がよく表れていると感じました。

笠松:視線を外したのは台本にあったわけではなくて、僕がそうしたいと思ったからなんです。監督からも「なんで目を逸らすんだ、恥ずかしいのか?」と言われたんですけど、恥ずかしいというよりも誠意ですよね。もし、自分の好きな女の子が目の前で着替えるシチュエーションがあったら、僕は絶対に見ない。単純にその方が男として格好いいと思ったんです。あのカットを使ってくれるかどうかは現場で分からなかったんですが、採用してもらえて嬉しかったですし、監督たちの器の大きさを感じました。この作品で僕の存在が少しでもスパイスになっていたなら良かったなと。

――サマンサ役のレイチェル・ケラーともいい関係みたいですね。

笠松:レイチェルは現場で「あなたは絶対に海外でも評価される」と言い続けてくれて。最近は「あなたがパートナーを演じてくれて誇らしい」とメールをくれました。ただただありがたい限りですし、僕もまったく同じようにレイチェルのことを誇らしいと思っています。

ーーほかに『TOKYO VICE』の共演者で印象に残っている方はいますか?

笠松:山下(智久)さんです。絶対にまた一緒に仕事をしたいですね。もし、山下さんのことを知らない方が現場での姿を見たら、「新人?」と思うぐらいに本当に謙虚で、しかもハングリーで。監督が求めるものを表現するためにどうすればいいかをすごく考えていらしたし、自分の意見もそこに入れていて。僕が山下さんの立場だったら絶対にできないなと思いました。

ーー山下さんのパブリックイメージとは少し違う印象かもしれません。

笠松:まさに。僕自身も予想外過ぎてびっくりしました。撮影が終わってからも、一緒にご飯にも行かせていただいて、いろんなお話をして、たくさん背中を押していただきました。現場で一緒になった方とご飯に行って仲良くなる、それ自体は決して珍しいことではないのですが、山下さんは1回きりではなくて、撮影が終わった後も定期的に連絡をくださるんです。僕は普段、先輩に自分から電話をかけるなんてことはほとんどないのですが、演技について悩んだときは山下さんに連絡しました。しかも、毎回電話を切るときや、別れ際に、「今日もいろんなことを教えてくれてありがとう」と言葉をかけてくださって。本当にすごい人だと思いましたし、自分ももっともっと力を付けてまたご一緒したいですね。

■放送・配信情報
ハリウッド共同制作オリジナルドラマ『TOKYO VICE』
WOWOWにて、毎週日曜22:00より独占放送中
WOWOWオンデマンドにて配信中
出演:アンセル・エルゴート、渡辺謙、菊地凛子、伊藤英明、笠松将、山下智久、菅田俊、谷田歩、萩原聖人、豊原功補、伊藤歩、渡辺真起子、板谷由夏、松田美由紀
エグゼクティブ・プロデューサー:マイケル・マン
監督:マイケル・マン、HIKARI、ジョセフ・クボタ・ラディカ、アラン・プール
(c)HBO Max / Eros Hoagland
(c)HBO Max / James Lisle
公式サイト:https://www.wowow.co.jp/drama/original/tokyovice/

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