『ドクター・ストレンジMoM』北米No.1をキープ 2週目大幅減収のジンクスは破れず

 5月13日~15日の北米興行収入ランキングは、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』が再び首位を飾った。北米興収は2億9186万ドル、海外興収は3億9620万ドルで、全世界累計成績は6億8806万ドル。早くも前作の累計興行成績を超え、7億ドルを間近に控える快進撃ぶりで、『THE BATMAN―ザ・バットマン―』を抜き2022年公開作品のNo.1に輝くのも時間の問題となった。

 マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品の興行的な強さはいまさら説明すべくもないが、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の公開を受け、この週末も他社が話題作の封切りを控えていた。ハリウッドの次なる大作映画は、5月27日公開の『トップガン マーヴェリック』となる。

 もっとも今週は――いかにMCU作品が大ヒットするとはいえ――『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』もまたMCUの興行的傾向を外れるものではなかったことを確認しておく必要があるだろう。近年のMCU作品は、公開2週目に大幅な下落率を示すことが“お約束”となっているからだ。

 週末3日間の本作の米国興収は6100万ドルで、前週の1億8742万ドルに比べると67%減。ディズニー側はあらかじめ65%の下落を見込んでおり、予測と実際の数字に大きな誤差はないため、今回の数字をやたらとネガティブに捉えるべきではない。ところが楽観視もできないのが実情で、本作の最終成績は9億ドル超えと見られているが、もし世界市場に共通する下落傾向に打つ手があったなら、おそらく10億ドルの壁を超えることも可能だったはずなのである。

 2021年公開のMCU作品は、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021年)が2週目に67%減、『エターナルズ』(2021年)が61%減、『ブラック・ウィドウ』(2021年)が同じく67%減。『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021年)のみ52%減という低めの下落率にとどまった。『スパイダーマン』は2週目がクリスマスに激突、『ブラック・ウィドウ』はコロナ禍ゆえに劇場公開と有料配信が同時開始されたという事情があったのだが。

 『エターナルズ』と『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』に共通するのは、ともに観客からの支持がさほど強くないことだ。Rotten Tomatoesの観客スコアは前者が78%、後者が86%の高水準だが、劇場の出口調査に基づくCinema Scoreでは前者がB評価、後者がB+評価と(MCUでは)低めの成績で、これが口コミ効果を鈍らせた可能性はある。さらに言えば、いまやディズニー配給作品は劇場公開の45日後にディズニープラスでの見放題配信が始まる可能性が高く、熱心なファンほどその事実をよく知っている。よほど作品に魅力がないかぎり、2度目の鑑賞に足を運ばせることが難しい時代なのだ。

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