『パリピ孔明』が海外でも高く評価される理由は? いちいち心憎い音楽の仕掛け

 現在、アニメファン、漫画ファンのみならず音楽ファンの間でも話題沸騰のTVアニメ『パリピ孔明』は、三国志をはじめとする様々な物語で有名な中国の軍師、諸葛亮すなわち諸葛孔明が、若き姿で現代の渋谷に転生するという奇抜な設定の作品だ。原作は講談社『週刊ヤングマガジン』に現在も連載中で、コミックス既刊は2022年1月時点で累計発行部数55万部を突破している。

 漫画は自分でページをめくりながら、気になった前の部分へすぐ戻って読み返せるし、迫力ある見開きの絵は好きなだけ眺めていられる……というように、いつでも自分のペースで楽しめる利点がある。だが、漫画の誌面から音は出てこない。人気漫画がアニメ化された時のメリットは、キャラクターたちに声がついて動きだすことはもちろんだが、そこに音楽が付くという利点が挙げられるだろう。実写映画でもアニメでも、主題歌や劇伴が優れた作品は人々の記憶に残りやすく、また思い出しやすい。音楽は映像と強く結びついて鑑賞者の中に残るからだ。とりわけ音楽に関する描写が大きな要素を占める『パリピ孔明』は、アニメ化によって原作の魅力を何倍にも膨れ上がらせた成功例といえる。

 主人公の月見英子は渋谷のクラブでアルバイトをしながら、有名シンガーを目指す少女。ひょんなことから英子と出会った孔明は、彼女の歌に深い感銘を受け、英子の夢を実現させるために“軍師”として仕えることにする。舞台は渋谷のクラブで、しかも次々と登場するキャラクターは、バンドのヴォーカリストだったりラッパーだったりと、とにかく音楽に携わる人物ばかり。もちろん英子自身も孔明の手助けを得て音楽イベントに出まくるため、必然的に作中に音楽が必要になる。

 アニメ化された『パリピ孔明』は、この音楽にまつわる仕掛けがいちいち心憎い。英子の歌パートを担当する96猫(くろねこ)は、TVアニメ『ふらいんぐうぃっち』(2016年)や『クズの本懐』(2017年)の主題歌といったアニメソングのほか、オリジナルアルバムも多く発売している歌手だけあって歌が上手い。またヒップホップを得意とする声優の木村昴が、カリスマラッパー役でラップバトルを見せたり、音楽制作は邦楽にも洋楽にも強いエイベックスが担当するなど、とにかくスタッフの「音に懸ける本気ぶり」が見えるのだ。

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