竜星涼の“ニーニー”がどうしようもない 『ちむどんどん』悲劇が重なり過ぎてもはや喜劇

 東京で料理人になる。料理大会への出場がきっかけに、自分のやりたいことを見つけた暢子(黒島結菜)。そんな彼女の夢を心から応援する家族に思わぬ悲劇が待ち受けていた。連続テレビ小説『ちむどんどん』(NHK総合)が第5週初日を迎え、またもや長男・賢秀(竜星涼)が起こしたトラブルに比嘉家全員が巻き込まれていく。

 1972年5月15日、本土復帰とともに沖縄の法定通貨は米ドルから日本円に変わることになった。その通貨交換を利用した投資詐欺にまんまと引っかかってしまった賢秀。そうとも知らない家族は親戚からも借りてようやく集めた1000ドルを、賢秀が倍にして返してくれると期待していた。特に上京資金もそこから捻出しようとしていた暢子は「銀座には有名なレストランが一番たくさんあるんダゼ」と、標準語で料理部の仲間に東京行きを自慢しまくるほど浮かれ気分だ。

 そんな中、最初は投資を持ちかけてきた我那覇(田久保宗稔)を信じようとしていた賢秀は徐々に自分が騙されたことを実感する。お金が戻ってこないことを知ると、智(前田公輝)が働くサンセットバーガーで客も巻き込んで大暴れ。そこには、教え子のライブを聴きにきた音楽教師・下地(片桐はいり)の姿もあった。

 結果、迷惑を被ることになったのは母・優子(仲間由紀恵)と3人の妹たち。1000ドルが奪われたことに加え、わずかな比嘉家の家計から賢秀が壊したお店の備品等の代金を払うことになった。さらに教師の良子(川口春奈)は家族が問題を起こしたことにより、職を失う可能性まで浮上。「音楽を愛する全ての人に対する冒涜」として、下地からも訴えられるかもしれない。そうなれば、彼女に才能を見出された歌子(上白石萌歌)の立場も危ぶまれる。

 笑い事では済まされないが、ここまで悲劇が重なると一周回って喜劇のよう。一方、家の倉庫に隠れていた賢秀は「俺は悪くない」の一点張りで悪びれもしない。そんな賢秀にこれまでの苦労を訴えかける良子のセリフが切ない。

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