『明日』性犯罪の被害者からペットまで 自殺を試む存在すべてを救う死神の物語

 第10話では、性犯罪によって自殺に追い込まれそうな2人が登場する。目をつぶりたくなるほどおぞましい事件の被害者となった妹ユニと、妹を守れなかった兄ユンジェの双子の兄妹だ。まるで加害者を味方するような世の中の仕組みや世間の見る目が当たり前に存在する恐ろしさ。そこには誰も味方してくれず、自分を責めるしかなできなくなった地獄があった。

 「自分のせいでこんなことが起きた」。自分を責め続けることで余計に傷を深めていたユニとユンジェ。一体、彼らは何をしたというのだろう。なぜ傷つかなければならないのだろうか。自ら刃を向けるユニを引き止めたのは、「あなたのせいじゃない」「誰もあなたのせいにはできない。たとえ自分自身でも」と声をかけたリョンだった。一生消えない傷を負ったユニを守っていくのは、ユンジェをはじめ家族や友人、周りの人たち。もしも自分の隣にいる大事な人が傷ついたら、守れるは私たちでもあるのだ。

 今回もリョンは悪を成敗してくれた。しかし現実は同じようにいかないだろうし、これは法廷ドラマではない。自ら死を選ぶほどの痛みを抱える人に、一番近くにいる者が周りの人がどのように寄り添っていくのかを見せてくれるのが「走馬灯」の危機管理チームなのである。

 悪人に容赦ないのは引導チーム長・パク・ジュンギル(イ・スヒョク)も同じだ。彼の一言一言は、地獄に突き落とされる崖の淵まで追い込んでくるような迫力と重みがある。このドラマでは死神は最後の生を記憶しているとされ、リョン、ジュンギル、そしてイム・リュング(ユン・ジオン)代理は、生前の苦しみから解き放たれないまま死神になっているようだ。

 イム代理といえば、淡々と任務をこなしはするけれど時折鼻をほじるし定時に退勤することに全力を尽くすゆるいキャラクターだったはず。なのにある女性を見かけて急に涙を流したかと思えば、今回の加害者に対してはかなり感情的な一面を見せていた。ここにきてようやく3人の過去について明かされていく。次回からはその真相に迫ることになりそうだ。

■配信情報
『明日』
Netflixにて独占配信中
(写真はMBC公式サイトより)

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