北米興行、久々の“無風状態” 『ドクター・ストレンジMoM』はどこまで成績を伸ばす?
北米映画興行に、ふたたび“嵐の前の静けさ”がやってきた。『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』に続く、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)最新作『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の世界公開を控え、4月29日~5月1日の興行収入ランキングはやや久しぶりの無風状態。スタジオ各社が新作の公開を見合わせた格好だ。
第1位は先週に引き続き、ドリームワークス&ユニバーサル・ピクチャーズのアニメーション映画『バッドガイズ』。前週比−32.8%という、公開2週目としては低めの下落率で1,610万ドルを稼ぎ出した。本作は3月中旬より海外市場で先行公開されており、北米での好調を受け、全世界興行収入は1億ドルを突破している(1億1,874万ドル)。
おなじみのファミリー向け実写映画も、先週から変わらず順位をキープした。第2位『ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ』は前週比−27.5%という粘り強さで1,135万ドルを記録し、北米興行収入は1億6,092万ドル。第3位『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』は3日間で830万ドル(前週比−40.7%)、北米興収は7955万ドルとなった。以前からの予想通り、1億ドルの大台突破は確実とみられる。
『ソニック』『ファンタビ』の特徴は、ともに海外市場で非常に優れた成果をあげていることだ。全世界興行収入の数値を見ると、『ソニック』が3億2,352万ドル、『ファンタビ』が3億2,955万ドルで、『バッドガイズ』と比較できるものではない(もちろん、そもそもの目標値やターゲット設定が異なるわけだが)。とりわけ日本における『ファンタビ』人気には目を見張るものがあり、いよいよドイツを抜いて海外市場No.1となった。
先週のランキングを賑わせた中規模作品&アート映画は、ともに公開2週目らしく大きめの下落率を示した。『ライトハウス』(2019年)のロバート・エガース監督最新作『The Northman(原題)』は610万ドル(前週比−48.7%)を記録して第4位に変わらずランクイン。ニコラス・ケイジが本人役で主演した『The Unbearable Weight of Massive Talent(原題)』は393万ドル(前週比−45%)で、先週の第5位から第7位にランクダウンした。どちらもコスト回収の面では厳しい状況だが、ラインナップの多様性に貢献するなど、業界において独自の闘いを続けていることも事実。コロナ禍からの再起動にあたる時期にスタジオ側があえて挑戦したケースゆえ、単なるビジネス的失敗として評価されないことを祈りたい。