山田涼介に“良い脚本"を? 年々高まる演技力と『大怪獣のあとしまつ』以降の出演作の行方

 映画『大怪獣のあとしまつ』や『鋼の錬金術師』など、公開後の評価が賛否渦巻く作品で主演を務めることが多い山田涼介。ファンからは応援しつつも「またか」という声があがり、映画ファンもここ数年の彼の演技が良いことから「不憫」という声をネット上であげており、両者が揃って「山田涼介に良い脚本の映画をやらせて」と一致団結する現象が起きた。

 容姿端麗で、28歳になった今でも“美少年”という言葉がしっくりくる山田は、Hey! Say! JUMPのメンバーとして活動する傍ら、俳優として数多くの作品で主演を務める。2017年に映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』で共演した西田敏行には「ジェームズ・ディーンと会ったような気がした」(※1)と言わせるほど、美しいながらも憂いを帯びた眼差しや儚さを感じさせる、孤高の雰囲気を持った役者へと成長している。

 11歳でジャニーズ事務所に入所し、2006年に『探偵学園Q』(日本テレビ系)でドラマ初出演。演技未経験ながらメインキャストの天才美少年役を演じ、当時既に天才子役として活躍をしていた同い年である神木隆之介や志田未来と共演して実力の差を痛感をしたと2017年に出演した『ZIP!』(日本テレビ系)で俳優人生を振り返っていた。その後、ただ容姿端麗なだけでなく、ストイックで役になりきる俳優となった背景には、この2人によるファーストインパクトが大きく影響したように思う。

 2008年には『古畑中学生』(フジテレビ系)で、中学生時代の古畑任三郎役に大抜擢。田村正和主演の大人気ドラマ『古畑任三郎』(フジテレビ系)の少年時代を任されるという大役は、ジャニーズ人気だけでなく、役者としての実力が買われたからだろう。キャラクターの濃い古畑とはまた違った少年探偵ものとなり賛否両論があったものの、古畑のナイーブさを上手く表現し、一つの作品として楽しめるものとなった。以降も、『左目探偵EYE』(日本テレビ系)や『金田一少年の事件簿』(日本テレビ系)などの少年探偵もので主演を演じ、映画初主演となった2015年の映画『暗殺教室』での熱演で、ジャニーズ史上初の第39回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞するなど、ジャニーズの中でも主演を任せられる実力派俳優として活躍していく。

 そんな山田の最近の出演作が何かと物議を醸す最大の理由を考えると、やはり漫画の実写化作品に出演することが多いからだろう。その美しい容姿が二次元キャラクターにハマるというだけでなく、激しいアクションもこなし、しっかりと役になりきった演技を見せるところに、有名原作やジュブナイルものに数多く配役される。一方で、本人の演技力とは関係ないところで、実写化における内容と配役が原作ファンの間で論争となり、難しい立場に立たされることが多い。その筆頭と言える『鋼の錬金術師』は、世界的な大ヒット漫画を実写化することで公開前の期待値が高まっていただけに、時間内に収めようと多くの原作改変が行われ、原作ファンからの怒りを買う結果に。ただ、山田はその中でも役になりきった演技を見せていたのは間違いなく、作品の期待値とのギャップによって割りを食ってしまった印象だ。

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