『ちむどんどん』川口春奈×黒島結菜が受ける不条理が切なすぎる 賢秀の後始末が姉妹に
明るいのに、どんどん姉妹たちが不条理なやるせなさと対峙せざるを得ないような展開が繰り広げられたNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』第14話。良子(川口春奈)はついに、母・優子(仲間由紀恵)に嘘をついて綺麗なワンピースを買った。70年代らしいチェックのワンピースを着こなす川口がかわいく、見ているこちらもテンションが上がってしまう。
例のハンバーガー店で開催されたフォークダンスパーティで、彼女は大学生時代の友人たちと楽しんでいた。密かに思いを寄せる石川博夫(山田裕貴)とも踊れた。しかし、すぐに東江里美(松田るか)に割り込まれ、彼を取られてしまう良子。それだけではなく、その場にアルバイトで来ていた豆腐屋の智(前田公輝)に見つかってしまった。
その日の午後、歌子(上白石萌歌)が熱を出して寝込んでいたので、畑に行くから代わりに見ておいてくれと暢子(黒島結菜)に頼まれていた良子。しかしダンスパーティに行くために彼女は「勉強会に行く」と言って家を飛び出した。その後やってきた智が暢子からも“勉強会”と聞いていたため、嘘をついて遊んでいた良子を咎める。こうして気まずい空気になってしまった良子は、足早に家に帰っていった。
夜遅くに家に着いた彼女を優子が迎えて「遅くまでご苦労さんだね」と労う。その言葉がさらに良子の良心の呵責を助長する。少しバツが悪い良子は今月分のお金が勉強会向けの本を買ったから、と少ないことを謝りながら渡す。しかし、すでに彼女はハンバーガー屋で智に会った時からずっと罪悪感に苛まれてきたのだ。すぐに自分の嘘を認め、今日着ていたワンピースと靴を出して事情を説明する。
しかし、そんな良子に対して優子は「楽しかった?」と笑顔で聞く。そう、良子はずっと子供の頃からお洒落をするのに憧れていた。しかし、現実はつぎはぎだらけの服を着るしかない。そんな彼女がようやく自分の買いたい物を着てお洒落を楽しめたのだ。しかし、もう彼女の中にはその「幸福感」がなくなってしまった。
「うち、恥ずかしい。貧しさを恥じた、自分が恥ずかしい」
貧しくても誇り豊かに暮らせば、それで良いと母の背中を見ていつもそう思っていた。それなのに、それを恥じた自分を責め出してしまった。お金を投げ、「人間はこんなものより弱くない、こんなものに負けてはいけない。教師の私がこれに勝たなければ、子供たちに何も教えられない」と自分をなじる良子がかわいそうで仕方ない。かわいい洋服や靴に誘惑されることは何も悪ではないのに。兄の賢秀(竜星涼)が働いてこなかったせいで、一家の家計に対する責任感が全て良子にいってしまっている。それで我慢し続け、夢を見た自分を悪とするのは、なんだかやるせない。「ごめんなさい」と泣きながら謝る良子の姿は痛々しいものだった。