『ちむどんどん』山田裕貴、前田公輝がそろい踏み 川口春奈演じる良子の恋模様にも注目

 賢秀(竜星涼)が殴った相手は、暢子(黒島結菜)が就職する眞境名商事の一人息子だった。謝罪に行った暢子が聞かされたのは、考えていたのとは違う現実だった。『ちむどんどん』(NHK総合)第12話では、悩める高校3年生の日常が描かれた。

 いざこざを起こした賢秀に反省するそぶりはなく、仕方なく1人で名護へ向かった暢子。応対した社長(岩谷健司)と専務(稲荷卓央)から賢秀本人の謝罪を求められ、就職の話はひとまず保留となった。眞境名商事はやんばる地域でも有数の企業で、期待に胸を膨らませる暢子に、専務は「君の仕事はこの事務所の雑用とお茶くみ」と告げる。続けざまに「君の代わりはいくらでもいる」と言われ、社長からは「もうすぐ本土からウーマンリブも押し寄せてくるからな」と女性蔑視とも取れる言葉を投げかけられる。しまいには「ノリコさん、頼むよ」と名前を間違えられた。

 商社に入って各地の美味しいものを食べるという夢が挫折し、暢子はがっくりと肩を落とす。家計の事情や他に就職先がないことを考えれば、就職しないわけにもいかず、「早く社会人になって働きたいと思ってたけど、今はずっと高校生のままでいいと思えてきた」「うちの青春、もう終わってしまうのかね」とすっかりトーンダウンしてしまった。暢子の願望には広い世界への憧れも込められていたと思う。返還前夜の沖縄で貧困や男女差別の余波を暢子も受けていて、ひそかにもがいている様子が伝わってきた。

 うだつの上がらない賢秀に代わって比嘉家を支えるのが長女の良子(川口春奈)である。念願の教師となり、地元小学校で教壇に立つ良子は高校時代に「マドンナ」と呼ばれただけあって、今なお注目の的だ。製糖工場の息子・喜納金吾(渡辺大知)の熱烈なラブコールを受け流して向かったのは教員仲間との勉強会。集ったのは、学生時代から交流がある石川博夫(山田裕貴)や東江里美(松田るか)たちだ。

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